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寒ブリならぬ<極寒ブリ>? 北海道白糠町のふるさと納税の返礼品に

ここ最近、海水温上昇による漁獲物の変化が北日本の各地で報告されています。特に北海道ではトラフグブリの漁獲量が急増しており、暖流による海洋環境の変化が如実に表れていると言ってもよいでしょう。

そんな中、北海道の東部、釧路市の西に位置する白糠町では近年急増したブリの消費拡大を狙いブランド化が進行。寒ブリならぬ「極寒ブリ」と呼ばれるブランドブリは塩糠町ふるさと納税の返礼品にもなっています。

北海道でなぜブリが獲れる?

ブリ(提供:PhotoAC)

1990年代以降、岩手県、青森県、北海道ではブリの漁獲量が増加しました(令和 3(2021)年度ブリの資源評価(案))。2011年からはさらに急増し、2013年、2015年には漁獲量が1万トンを超えました(北海道におけるブリの来遊状況)。

2011年以降、高水準を維持していた北海道におけるブリの漁獲量は2020年では過去最高である15,457トンを記録しました(42.ブリ-北海道)。これは2020年におけるブリの漁獲量で日本一を記録するものであり、その後も漁獲量に前後はあるものの高い水準を維持しています。

北海道でブリが多く漁獲されるようになった原因の一つとして考えられているのが、「海洋熱波」と呼ばれる急激な海水温の上昇です。これにより暖かい海水が北海道まで北上し、ブリなどの暖水性の魚の出現が増加したと言われています。

サケなどの寒海性の魚は減少傾向

黒潮が北上し暖水性の魚が増加する一方、暖かい水に阻まれた親潮は南下することができず、寒海性の魚やサンマ、イカなどの漁獲量が減少しています。多いときでは1万トンの漁獲量があった羅臼町のサケも近年では2000トンを下回るそうです(秋サケ不漁 ブリ豊漁 北海道、海の幸に異変!? 海中環境が変化 業者ら対応模索)。

ブリの漁獲量が増える北海道ですが、道内でブリはあまり馴染みがなくサケやイカと比較して価格が安いことから漁業関係者はブリの豊漁は素直に喜べないといいます。

そんな中、北海道の各地でブリの消費拡大を目指す取り組みが行われており、白糠町の「極寒ブリ」もその一つです。

北海道だけじゃない 変わりゆく北の海

変化しているのは北海道の海だけではありません。北日本の各地で今まで見られなかった魚、または少数しか記録がなかった魚の記録が相次いで報告されいます。

先月、公表された「宮城県から得られた北限記録を含む暖水性魚類4種の写真に基づく記録」では、宮城県初となるミナミクルマダイ、イヒトキヒメ、アカアマダイ、オオニベの4魚種が記録されています。このうちミナミクルマダイ、イトヒキヒメ、オオニベは宮城県初記録であると共に北限記録となりました。

また、青森県三沢沿岸からは青森県初記録・北限記録となるタテジマキンチャクダイの成魚が採集されており(青森県三沢沿岸から得られた北限記録のタテジマキンチャクダイ)、これらは環境の変化を表していると言ってもよいでしょう。

北海道で急増しているブリの消費拡大を目指して道内の様々な企業・団体がPR活動をしています。ブリの新たな産地として北海道が有名になる日はそう遠くないかもしれません。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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