南米を原産とする多年生植物「ナガエツルノゲイトウ」。
本種は非常に旺盛な成長力を持ち、茎を急速に伸ばし水面を覆う群落を形成します。日本では1989年に初確認された後、分布を拡大し、現在は特定外来生物に指定されています。
ナガエツルノゲイトウは河川や農業用水路などにも侵入することから、拡大の抑制が課題とされる一方、旺盛な成長率を支える生理学的な仕組みや、水域への成長・拡大を可能にする生存戦略は詳しくわかっていませんでした。
そうした中で、東洋大学の廣津直樹教授らの研究グループは、これらの謎を解き明かすべく、近縁2系統を用いた成長解析や水中条件での光合成測定を行いました。
この研究成果は『Aquatic Botany』に掲載されています(論文タイトル:Aerial escape over aquatic acclimation: photosynthetic strategy and biomass allocation underlying the invasiveness of Alternanthera philoxeroides)。
ナガエツルノゲイトウの旺盛な成長力
ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草です。
本種は非常に旺盛な成長力をもち、茎を急速に伸ばし水面を覆うよう群落を形成します。
ナガエツルノゲイトウ(提供:PhotoAC)茎の断面から容易に再生し、高い拡散能力を有する侵略的外来生物。日本においては、1989年にはじめて確認された後、徐々に分布域を拡大しており、現在は特定外来生物に指定されています。
また、本種は河川や湖沼、農業水路にも侵入することから、拡大の抑制が課題ろされる一方で、旺盛な成長力や水域への侵入・拡大を可能にする生理学的な仕組みは詳しくわかっていませんでした。
急速に茎を伸ばし水上に葉を展開
そこで、研究グループはナガエツルノゲイトウの旺盛な成長力や水域への侵入・拡大を可能にする生存戦略を明らかにすべく、ナガエツルノゲイトウと近縁2系統を用いて、成長解析や水中条件での光合成測定などを行いました。
その結果、ナガエツルノゲイトウの旺盛な成長は、葉の面積を大きくすることではなく、葉の高い炭素同化能力による効率的な炭素獲得であることが判明。さらに、本種は光合成で得たバイオマスを茎の成長に大きく振り分けることで、急速に茎を伸ばしていることが明らかになっています。
また、長期間水没すると新しい水中葉も形成されず、一部の水生植物が水中の炭素源として利用する重炭素イオンの積極的な利用も認められていません。
このことから、本種は水中環境に適応して光合成するのではなく、茎を水面まで急速に伸ばし、葉を水上に展開することが、水域での生存を支える大きな要素と考えられています。
効果的な防除に実現へ
今回の研究によって、特定外来生物であるナガエツルノゲイトウの旺盛な成長力を支える生理学的な仕組みと、水域への侵入・拡大を可能にしている生存戦略が明らかになりました。
筆頭著者である井上陸仁さんは、「今後もナガエツルノゲイトウの特性を明らかにし、将来的には効果的な防除につながる研究をしていきたい」と語っています。
(サカナト編集部)