エジプトでは数千年前から伝わる魚料理が現代でも親しまれています。しかしそれらの料理、実はとても危険なのだとか。
この記事では、エジプトのお祝いごとにおいて欠かせない魚料理であるフィシーフとレンガについて、その危険性も含めて紹介します。
古代からエジプトに伝わる魚を使った伝統料理・フィシーフ
エジプトにある魚を使った伝統料理がフィシーフ(fesikh)です。
地中海と紅海に生息するボラを乾燥させ高濃度の塩水に数週間浸けて発酵させる料理で、魚を発酵させる調理方法により独特の刺激臭があるのだとか。
また、レンガ(Renga)と呼ばれるニシンの燻製も併せて伝統的な魚料理として親しまれています。
フィシーフとレンガはエジプトにおいてお祝いごとの時に食べるご馳走だそう。特に、春の始まりを祝うシャンム・ナシーム、ラマダンの終わりを祝うイード・アル=フィトルでよく食べられています。これらの祝日は現代でも重要視されていて、休暇をとって家族と過ごしたり、特別な衣装を着たりといわゆるハレの日として楽しみます。
フィシーフもレンガもエジプトのお祭りと共に数千年前から伝わる伝統的な魚料理ですが、エジプト保健省は長年にわたりこのふたつの料理に強い警告を出しています。
危険な魚料理!? そのワケとは……
フィシーフは高濃度の塩水に数週間浸けるという調理方法から見てわかる通り、塩分が過剰に含まれています。この過剰な塩分は、高血圧や腎臓病を患っている人をはじめとした健康被害が報告されているのです。
エジプト保健省では、塩分濃度が高いと呼吸困難や心臓発作を引き起こす可能性があると警告しています。
そして、フィシーフとレンガが危険な料理として扱われる一番の理由がボツリヌス症を発症するおそれがあることです。
ボツリヌス毒素は最も毒性の強い物質としても知られている毒素です。フィシーフとレンガは適切に調理されていない場合、ボツリヌス症を引き起こし、最悪死に至ることもあるとして警告されています(Egypt warns kidney patients against consuming fesikh, renga in Eid-ahramonline)。
そのため、これらの料理の消費量が大幅に増加するイード・アル=フィトルとシャンム・ナシームに備え、同省はボツリヌス毒素に対する抗血清がすべての医療施設と大学病院で入手できるように指示。2394台の救急車と11台の河川救急車が幹線道路や公園、庭園、モスクの周囲に配置される予定を発表したそう。さらに、医療施設や救急車サービスに対して、この期間中は常に警戒を続けるよう指示しました(The deadly dish people love to eat-BBC)。
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