水鉄砲のような行動で狩りをする魚、テッポウウオを知っていますか? 世界には広く分布していますが、日本では分布域が少なく、知名度も少し低い魚です。
この記事では、面白い行動をみせるテッポウウオについて解説します。
テッポウウオとはどんな魚?
テッポウウオ科の魚は、テッポウウオ属1属から構成され、これまでに8種が知られるグループ。スリランカやタイ、インドやオーストラリア北部など東南アジアの熱帯域に広く分布する魚で、淡水域や汽水域、海岸と生息域も広いです。特にマングローブ地域に生息しています。
以前は日本に分布しないと思われていましたが、1980年に沖縄県の西表島で発見されました。現在も西表島のみでの生息が確認されています。
成魚の体長は一般的に15~30センチほどで、体色は白、または銀色。背中から体の真ん中にかけて黒い縞模様があります。大型種は食用としても親しまれています。
テッポウウオの狩りの仕方
テッポウウオは狩りをする魚としてよく知られています。口には射水溝という細い溝があり、そこに舌をストローのように丸め合めて口の中に水を貯めます。そして、えら蓋を閉じることで水を噴射するのです。この水の噴射により、水面下から昆虫を捕食します。
また泳ぎも素早く、水中の小魚や甲殻類を捕まえることもあるそう。まさに狩りの名人です。
名前の由来はもちろんこの特技。英名でも”Archerfish”(射手魚)と呼ばれています。この名前の由来から見ても、水鉄砲で狩りをするという特徴の珍しさがわかりますね。
この水鉄砲は2~3メートル先まで届き、トキソテス・ジャクラタという種のテッポウウオは1.5メートル先の目標をあてた記録があります(Archerfish-denverzoo)。1.5メートル先を確実に捉えることは人間でも難しいのではないでしょうか。
また、水面近くの獲物をジャンプして捕食することもあります。その高さは最大で30センチほど。水面を隔てると屈折が起こるため、自分の位置と獲物の位置を計算してジャンプしたり水の噴射を行ったりすることはかなり珍しいですが、テッポウウオは持ち前の認知能力によってそれを行うことができます。また、屈折の歪みを少なくするために、水面を乱すことなく獲物の真下に泳ぐという行動も見られるそう。
これらの能力は他の魚の狩りの方法を見て学ぶ観察学習によるものとされており、射程や命中率には個体差があります。
また、水中の砂や泥に埋まった昆虫の幼虫などを持ち上げて捕食するという目的で、水中で砂底に向かって水を噴射することもあります(Archerfish use their shooting technique to produce adaptive underwater jets-Journal of Experimental Biology)。
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