暑い夏が終わりに近づき、秋の気配が感じられるようになりました。
この記事を書いている筆者には、秋に近づくと思いだすクラゲがいます。
出会いは人影少なくなった秋の砂浜。暖かい南の海からやってきたギンカクラゲです。
“海に浮かぶ銀貨”ことギンカクラゲ
浜辺で偶然見つけたのは銀貨のように見える盤に青い触手を備えたギンカクラゲ。分類はヒドロ虫綱・花クラゲ目・ギンカクラゲ科。学名をPorpita porpita、英名をBlue Button(青いボタン)といいます。
暖かい海に生息する外洋性の水生生物で、黒潮海域に生息しています。最近では海流にのって太平洋沿岸に打ち上げられることもあるので、見たことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近では対馬海流にも乗って日本海側沿岸でも見ることができるようになりました。筆者も初めて見たのは兵庫県の竹野海岸でした。
ギンカクラゲの成長過程
ギンカクラゲのことを詳しく調べるうちに、私が見た状態は正確にいうと「クラゲ」の状態ではないということがわかりました。
「実はこの写真のような状態は、いわゆる『クラゲ』の状態ではなく、それぞれ専門の役割を持った『個虫の群体≒ポリプの集合体』なのです。そのため、『餌を捕まえる』役割である『感触体』や『食べて消化する』役割をする『栄養個虫』等に分かれています」(ぽるぴた・ぽるぴた-えのすいトリーター日誌 | 新江ノ島水族館 (enosui.com))とのこと。
また、いくつもの過程を経てクラゲになることもわかりました。
「仮に受精卵の状態を[1]とすると、以下のような生活サイクルを送ります。[1]受精卵 → [2]プラヌラ幼生 → [3]ポリプ → [4]ポリプの群体 → [5]親クラゲ → [1]受精卵 ……(カツオノエボシの魅力その 2 【生活サイクル】 | えのすいトリーター日誌 | 新江ノ島水族館 (enosui.com))
海岸で見つけたギンカクレゲは[4]の状態ということがわかりました。クラゲだと思っていましたが、「クラゲ」になる一歩手前の状態ということだったんですね。
美しいものには毒がある
ギンカクラゲは自力では泳ぐことはできないので、台風が過ぎさった後に浜辺に打ち上げられることや、吹き溜まりの場所に大量に漂っていることがあります。
海岸に近いところにお住まいの方は、散歩がてらに探してみてはいかがでしょうか。
ただし、カツオノエボシほど毒性は強くないですが、感触体には毒があるので、見つけても決して気軽に触らないようにしてくださいね。
(サカナト編集部)