ヨロイイタチウオに似た魚
ヨロイイタチウオは水深100~200メートルくらいの海底で多く見られ、底曳網や、延縄漁業で漁獲されます。
底曳網では大小さまざまなサイズが漁獲されますが、その中にはヨロイイタチウオと同じくアシロ科の魚である、シオイタチウオ Neobythites sivicola やウミドジョウ Sirembo imberbis といった魚も混ざります。
とくにシオイタチウオというのはヨロイイタチウオの小さな個体とよく似ており、誤同定されることもあります(筆者も経験あり)。
ヨロイイタチウオとシオイタチウオは腹鰭の位置で見分けることができます。ヨロイイタチウオは眼の直下にあるのに対し、シオイタチウオではより後方、鰓蓋の下方にあるので見分けることができます。
またウミドジョウは腹鰭が1軟条であるのに対しヨロイイタチウオは2軟条であることで見分けられます。ウミドジョウの場合、体側の楕円形の斑点が並んでいるのも特徴ですが、底曳網では体表が傷ついていて模様が目立たないことが多いです。
シオイタチウオは水深100~200メートル、ウミドジョウは40~150メートルほどの水深に多く見られます。そのためヨロイイタチウオと一緒に網にかかることもあります。
ヨロイイタチウオを食する
ヨロイイタチウオは日本のアシロ科魚類としては大型になる種で、食用として重要です。鍋物や汁物、刺身などで食されています。
また肝臓は絶対に捨ててはいけません。刺身にするのであれば、ゆでてポン酢醤油で食べるのが美味しいです(カワハギの肝と同じような感じ)。
なお、南アフリカやオーストラリア、ニュージーランドには「キングクリップ」や「リング」といった、同じようなアシロ科の種が知られており、中には2メートルにもなるような種もいて、食用となりしかもかなり美味しいものです。
日本でもソコボウズがメーターオーバー、オオイタチウオもそれに近いくらいのサイズになりますが、これらの種は1000~2000メートルほどの深海底に見られ、水揚げされることはほとんどありません。
独特な見た目ながら美味なヨロイイタチウオは、魚屋さんで販売されることもたまにあります。見かけたらぜひ食してみてください。
(サカナトライター:椎名まさと)
2