丸っこいシルエットととがった口元が印象的な魚「アカククリ」は、成魚と幼魚では色合いが全く異なることで知られています。
この記事では、アカククリの特徴や生態、ツバメウオとの違いや見分け方などについて解説します。
アカククリってどんな魚?
アカククリは、スズキ目マンジュウダイ科に分類される海水魚です。インド洋から西太平洋にかけて広く分布し、普段はサンゴ礁や沿岸の岩礁域などに生息しています。
大きさは成魚で30センチほど。縦に大きく、その独特な存在感に魅入られる人も多いのではないでしょうか。
アカククリは、成長とともに体色や体型が変化していくことで知られています。幼魚のうちは全体的に黒っぽい体色をしており、ひれの周辺に橙色の縁どりがあります。この縁どりが目に美しいため、観賞魚として注目されることも。これを狙って潜るダイバーもいるんだとか。
成魚になるにつれ、銀色の体に黒い縁どりをもつ姿に変わっていきます。
毒のあるヒラムシに擬態している
アカククリの幼魚の体色や派手な色合いの縁どりは、毒性をもつヒラムシという水生生物の見た目にとてもよく似ています。
また、浅いサンゴ礁のすき間に身を潜めながら体全体をひらひらさせる動作も、ヒラムシの動きにそっくりなのだとか。有毒なヒラムシに外見を似せることで、自分自身の身を守っているのですね。
アカククリとツバメウオの見分け方は?
アカククリの成魚の姿は、同じマンジュウダイ科に属する「ツバメウオ」にとてもよく似ています。それでは、アカククリとツバメウオを見分ける方法はあるのでしょうか。
ひれの形状で見分けられる
アカククリとツバメウオを見分ける際は、ひれの形状に注目してみてください。アカククリの幼魚は背びれと尻びれが非常に長く、ひれの縁どりも目立ちます。しかし成長とともに、ひれの長さは徐々に短くなっていき、橙の縁どりもみえなくなります。
一方、ツバメウオのひれは、アカククリにくらべると広がりがあり、先端が丸っこくなっているのが特徴です。また、ひれの長さは幼魚でも成魚でも変わりません。
観賞魚としてのアカククリ
幼魚のもつ美しい色彩が印象的なアカククリは、観賞魚としても人気の高い魚です。
ただ、幼魚のうちは餌やりが非常に難しいため、自宅で飼育することはあまりおすすめしません。水族館やダイビングで見かけた際は、ぜひその体色やユニークな動きに注目してみてくださいね。
(サカナトライター:糸野旬)