サメやエイは、「魚」と聞いてイメージする生き物たちとは少し違った形をしていますよね。
実は、サメとエイは魚の中でも軟骨魚類と呼ばれるグループに属しています。
軟骨魚類ってどんな魚?硬骨魚類との違いは?
魚を骨格から分類すると、軟骨魚類と硬骨魚類にわけることができます。
軟骨魚類とは体の骨格全体が軟骨でできている魚
硬骨魚類とは、骨格の大部分が硬骨と呼ばれる硬い骨からできている魚です。マグロやタイ、イワシなど、私たちが「魚」と聞いてイメージする魚の多くは硬骨魚類に属しています。
反対に軟骨魚類とは体の骨格全体が弾力を持つ軟骨でできています。脊椎動物のうち、顎を持つ動物をまとめた顎口上綱の下位分類群である軟骨魚網に属する魚を称する言葉です。
軟骨魚類は主に世界中の海洋に広く分布しており、その姿はさまざまです。
軟骨魚類と硬骨魚類の違いは?
軟骨魚類と硬骨魚類の違いは、えらで確認することができます。軟骨魚類には、体の左右にえら孔(あな)と呼ばれる孔があります。種類によって1~7対あり、それに対し、硬骨魚類にはえら孔が存在しません。代わりに、えらを覆って保護するえら蓋という板状の組織が、頭部の両側に一対ついています。
また軟骨魚類の特徴として、ロレンチーニ器官と呼ばれる感覚器官がついていることが挙げられます。この器官があることで、数十センチメートル範囲の電流を感知できます。生物の筋肉から発生する微弱な電流を捉えて獲物の位置を知るのに役立ちます。
軟骨魚類の代表として知られているサメやエイ
軟骨魚類にはサメやエイ、ギンザメの仲間が含まれています。彼らの生態を少し詳しく見てみましょう。
サメとエイの違いは形ではなくえらの場所
エイといえばその平らな体と長い尾です。しかし、体に厚みがあり、細長い種では、ほとんどサメと見分けることができません。サメによく似た種に、サカタザメというエイがいます。彼らをわけるのは、えらの位置。サメは頭のすぐ後ろ、胸びれの上にえら孔があるのに対し、エイは腹面にえら孔があります。
尾棘と呼ばれる毒針を持つ種が多いことも特徴として挙げられます。尾棘にはノコギリのような返しがついており、一度刺さるとなかなか抜けません。
ギンザメはサメではない?不思議な深海魚
サメとギンザメの仲間をわけているのは、ふたつが別の種類に属しているからです。
サメとギンザメは、軟骨魚類のなかでも別の分類。難しく言えば、サメとエイは板鰓亜綱、ギンザメは全頭亜綱に属しています。板鰓亜綱はえら孔が3~7対あるのに対し、全頭亜綱は、えら孔が1対となります。また、うろこはなく、粘膜で覆われた皮膚で体を守っています。
全頭亜綱のほとんどは絶滅しており、現在はギンザメの仲間のみが海に生息しています。
私たちと軟骨魚類の関わり
珍しいサメやエイを展示したり、触れ合えたりする水族館や、身近で観察できるダイビングなど、軟骨魚類たちは観光業において重要な存在です。
エイヒレやフカヒレ、すり身を加工したかまぼこやはんぺんとして食べることもありますし、生物の進化の歴史を辿るうえで重要な生物でもあります。実は、軟骨魚類は私たちの身近に存在する生物なのです。
(サカナト編集部)