鮮やかな色合いと力強い引き味が特徴のカスミアジは、釣り人やダイバーから人気の高い魚です。
この記事では、カスミアジの特徴や生態、幼魚と成魚の外見上の違いなどについて解説します。
カスミアジは活動的な大型のアジ
カスミアジは、スズキ目アジ科に属する大型の海水魚。通常は30～50センチ程度の体長ですが、最大で80センチを超える個体も存在するといわれています。
カスミアジの群れ（提供：PhotoAC）
主に熱帯および亜熱帯のインド太平洋地域に広く分布しており、日本では沖縄地方や小笠原諸島などでよくみられるそう。
カスミアジは、アジ科の魚の中でも体高が高く、強力な尾びれを持つためスピード感のある泳ぎが特徴です。通常は群れで泳ぐことが多く、活動的な魚として知られています。
観賞魚としてのカスミアジ
カスミアジは幼魚と成魚で見た目の印象が異なる魚です。
カスミアジの幼魚は銀白色の体色をしており、黄色い胸びれを持っています。この体色は、成長とともに金に近いあざやかな色合いに変わっていき、体表には青い縞模様と黒っぽい斑点があらわれます。
また、青く輝く背びれや尾びれの色合いが華やかな印象を与えます。
カスミアジ（提供：PhotoAC）
釣りあげたとき全身が金色にキラキラ輝く美しさ、そして力強い引き味が印象的なカスミアジは、ルアー釣りやスポーツフィッシングなどのシーンでも大人気。釣り愛好家やダイバーを中心に、観賞魚としても高く評価されています。
淡白で適度に脂のりがよく美味
見た目の華やかさが注目されがちなカスミアジですが、食べてみると非常に美味しい魚でもあります。
淡白で適度な脂がのったカスミアジは、刺身や焼き物、揚げ物など、さまざまな調理法で親しまれています。和食としてだけでなく、薄切りにしたカスミアジにオリーブオイルやレモン汁をかけて洋風に仕上げる食べ方も美味しいと評判です。
カスミアジの煮付け（提供：PhotoAC）
ただ、カスミアジを食べる際は、シガテラ毒素に注意する必要があります。シガテラ毒とは、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁の周辺に生息する魚によって起こる食中毒のこと。食物連鎖によって蓄積されていくため、大型の魚類ほどシガテラ毒を持つ可能性が高いとされています。
通常、シガテラ毒は魚の頭部や内臓に蓄積されていることが多いです。カスミアジを調理する際は、頭部と内臓は早めに取り除くように心がけましょう。
「アジ」と一口に言えど、世界には色々なアジがいます。それぞれ釣りやダイビングなどのアクティビティで出会う機会は多いですが、アクティビティをしない人にはなかなか知名度の低いアジの仲間たちも。
この記事をきっかけに、さまざまなアジの仲間たちに触れてみてはいかがでしょうか。
（サカナトライター：糸野旬）
