2025年に会いたいサカナはシュモクザメ。
筆者は趣味がスキューバダイビングの二児の母で、いわゆる“ママダイバー”です。この1年は海と離れてしまいましたが、2025年こそは海に戻りたいと考えています。
しかし、なにせ子育て真っ只中で、自分の時間がありません。もし、今ダイビングができるならどんなサカナに会いたいかを考えてみました。
ハンマーのような頭部が特徴的なサメの仲間
シュモクザメはいわゆる「ハンマーヘッドシャーク」と呼ばれるサメで、張り出した頭部(ハンマーヘッド)が特徴的です。体長は4~6m、体重は230~450キロあるものもいます。
日本では、神子元島(静岡県)や与那国島(沖縄県)で見ることができ、主にアカシュモクザメ・シロシュモクザメ・ヒラシュモクザメなどがいます。
このハンマーヘッドの両サイドには、とても広い視野をもった優れた眼があります。この眼は前方にいる獲物の距離を正確に把握する立体視にも優れていると考えられています。
それだけではなく、サメの頭部にある「ロレンチーニ器官」という生物が動く時に発する微弱な電気を感じ取ることができる器官が、他のサメより広い範囲で存在しています。
ハンマーヘッドという名前ですが、“掃除機のヘッド”にも見えるのは私だけでしょうか。
掃除機ヘッドは広い範囲でゴミを感知し吸い取りますよね。最近はシュモクザメのことを考えすぎて、掃除中にそんなことを思っていました。
話がそれましたが、シュモクザメはこの頭部を使って海底付近を泳ぎ、獲物を探します。
ハンマーリバーを見たい
特徴的な体を持つこのサメ単体にも会いたいのですが、特に「ハンマーリバー」を見たいのです。
これはシュモクザメが数十匹から数百匹の群れで泳ぐ様子のことで、ダイバーには憧れの景色だと思います。
ダイビングには、この生物が見られるよというポイントがそれぞれあります。しかし、それは潜れば必ずその生物に会えると約束するものではありません。
潮の流れや水温、時には生物がお出かけ中なんてこともあり、いろんな条件が重なって初めてそのポイントで出会えます。私はここにダイビングの楽しみがあると思います。
「出会えた!」「いい写真が撮れた!」
この感動が楽しみであり、潜ることの喜びなのです。
ハンマーリバーにも同じことが言えます。時期を狙って潜っても、出会えないということはざらにあるのです。
実は絶滅危惧種である
サメは強い、狂暴、敵なし、というイメージがあるかもしれません。
しかし、実は先ほどあげた3種のうち、アカシュモクザメとヒラシュモクザメは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストの絶滅危惧種に分類されています。
気候変動による環境変化の影響も考えられますが、ヒレだけを採取して殺してしまう「フィニング」という人間の行為が主な脅威となっているようです。
そもそもサメは謎が多い生き物です。大きな体を持つものが多くて、飼育が難しく、さらに成長が遅いため研究が難しいのです。
シュモクザメも同様、成長が遅いので一度個体数が減るとその影響から回復することは容易ではないのです。
サメを取り巻く環境の理解も深めたい
今後のダイビングのことを考えているうちに、ファンダイブ(遊びのダイビング)だけでは物足りない気がしてきました。
例えて言うのならば、海外に滞在するなら、どうせなら現地の語学学校にも通ってみようかな!というような感覚です。滞在期間をさらに実のなるものにしたいですもんね。
その方法のひとつとして、世界最大のダイビング指導団体「PADI」のスペシャルティコースがあります。これは特定(=スペシャル)の分野の知識を深めたり、器材のノウハウを身に着けることなどで経験と楽しみの幅を広げることを可能にするものです(PADIスペシャルティ・ダイバー・コース-PADI)。
その中に「AWAREサメの保護」という、サメについて詳しく学べるコースがあります。コースは座学と海洋実習ダイブで構成されているとのことです。
ウェブサイトでは「トレーニング・ダイブ中にサメを見ることは認定条件ではありません」とあるので、受講するショップ次第ということになりそうですが、この海洋実習ダイブを通してシュモクザメに会えるように計画したいと思います。
育児とダイビングの両立への挑戦
若い頃には気づかなかった時間の有限さを、歳を取るにつれて痛感しています。
にもかかわらず、時間を有効活用するための行動を起こす瞬発力や体力・気力は次第に無くなってきています。ましてや、家族がいると自分のことはどんどん後回しにしてしまいます。
しかし、私は運がいいです。今回この記事を執筆していて、2025年は何事もちょっと無理をしてみようかなと思い改めるきっかけとなりました。
ひょっとすると、今後なにかがあってハンマーリバーを日本で見られなくなってしまうかもしれません。そうなる前に、ちょっと無理をしてでも、シュモクザメに会いに行きたいと思います。
(サカナトライター:keiko)