中国では古くから、「四大家魚」と呼ばれる魚を食用にしています。
アオウオ、ソウギョ、ハクレン、コクレンが四大家魚とされ、日本にも移入されました。
これらの魚について、日本における移入後の状況をまとめました。
中国の四大家魚とは?
中国で親しまれている食用魚を四大家魚(よんだいかぎょ)と呼びます。
中国語である「家魚」を日本語に直すと「養殖魚」や「養魚」と訳されますが、これは魚を家畜化したものを意味するそうです。中国では川魚は養殖したものを利用するのが一般的なため、おいしくて飼いやすいこれらの魚が必然的に選ばれることになりました。
四大家魚であるアオウオ、ソウギョ、ハクレン、コクレンは、いずれもコイ科の魚です。
アオウオ
アオウオ(青魚、学名:Mylopharyngodon piceus)は、中国の黒竜江流域からベトナム北部の河川に生息する魚で、全長100センチ(最大で140センチ)ほどになるそうです。
アオウオ(提供:PhotoAC)日本では利根川・江戸川水系、霞ヶ浦で繁殖が確認されており、外来生物法で「要注意外来生物」に指定されています。
また、石狩川や岡山県内の河川などでは放流されたものが生息しているそうです。
ソウギョ
ソウギョ(草魚、学名:Ctenopharyngodon idella)は、中国やアムール川に生息する魚で、全長100センチ(最大で140センチ)ほどになるといいます。
ソウギョ(提供:PhotoAC)日本では利根川や江戸川水系、霞ヶ浦などで定着しており、本州、四国、九州で放流されています。県によっては移殖が禁止されていたり、採捕に制限が設けられたりしています。
水草を大量に食べる性質があるため、除草や食料、釣りの対象として全国でたびたび導入されているのが現状です。自然繁殖は利根川水系だけですが、水生植物群落を壊滅させる恐れがあり、注意が必要です。
ハクレン
ハクレン(学名:Hypophthalmichthys molitrix)はレンギョとも呼ばれる魚で、中国から北ベトナムに生息。全長120センチ(最大で130センチ)ほどになるそうです。
ハクレン(提供:PhotoAC)アオウオやソウギョと異なり、体高が高く側扁(そくへん=タイなどのように左右に平べったい魚)しています。
利根川・江戸川水系と淀川水系でのみ繁殖しますが、北海道と沖縄以外の全国に移殖され、全国に分布しています。
コクレン
コクレン(学名:Aristichthys nobilis)はハクレンに非常によく似た魚で、揚子江水系から中国南部、ラオス、ベトナムに生息します。全長100cm(最大で120cm)ほどになるそうです。
コクレン(提供:PhotoAC)体色が黒っぽいことや不規則な雲状斑があることなどで区別が可能。霞ヶ浦、北浦、利根川・江戸川水系で自然繁殖して定着しています。
四大家魚の生産はコスパがいい?
中国における家魚もしくは四大家魚の生産については、単なる養殖ではなく、高度な養殖システムであるとの見方もあるようです。
まず、ソウギョのエサになる草を刈って池に入れると、ソウギョがこれを食べ、ふんをします。次に、このふんをタニシなどの巻貝や植物プランクトンがエサにして増殖。増えた植物プランクトンはハクレンのエサになります。
また、植物プランクトンは動物プランクトンやミジンコのエサとして最適で、この増えた動物プランクトンはコクレンのエサになります。
こうしたサイクルなどを上手に回すことで、手間をあまりかけずに魚を増やし、大きくすることができます。中国で四大家魚がよく食べられている理由がここにありそうです。
日本に移入された四大家魚のその後は?
四大家魚は、日本へ食料増産の目的で移入されました。
しかし、この4種の卵は塩分に弱く、海水が入る場所では卵が死滅するため、長い流程がある利根川水系などでしか繁殖はしませんでした。
一方、エサの種類や生息環境に適応できた場合には大きな湖沼でも繁殖できたと考えられているようです。
現在では、釣りの対象などとして全国に移植。長野県などではソウギョによる水生植物群落の壊滅などの問題が生じており、生態系への影響が懸念されています。
(サカナトライター:額田善之)
参考文献
ヒトと動物の関係学 第2巻 家畜の文化、秋篠宮文仁、林良博(2009)、岩波書店
菅豊「家魚の文化誌」