海の覇者とも言われるサメ。
その完成されたフォルムはもちろん、サメと言えばやはり“ギザギザの歯”も魅力のひとつになっています。
サメの特徴的な歯と人間の歯は、同じ“歯”でも大きな違いがあるのです。
人間の歯とサメの歯の違いとは?
そもそも私たち人間の歯とサメの歯はどう違うのでしょうか?
特に大きな違いを挙げるとするならば「形」「生え変わりの回数」「虫歯になりにくい」の3つではないかと思います。
シロワニの歯(提供:PhotoAC)人間の歯は前歯や犬歯、奥歯といくつかの形のバリエーションがあるのに対して、サメの歯は尖った三角形。人間の歯の生え変わりは乳歯から永久歯への1回のみなのに対して、サメの歯は一生涯にわたって何度も生え変わります。
人間の歯は虫歯になりやすいのに対して、サメの歯は虫歯になりにくいことも特徴です。
サメの歯の仕組みや構造
尖った三角形の歯が、一生涯にわたって何度も生え変わるというサメの歯。これらの特徴はサメの歯ならではの仕組みや構造によるものです。
肉食性のサメは鋭い歯で獲物に食らいつき、その獲物を切り裂いて丸のみにします。そのたびに歯が割れたり欠けたりする可能性があるのですが、割れた歯や欠けた歯のままでは十分に狩りができません。
だからこそ、サメは一生のうちに何度も歯が生え変わる「多生歯性」という性質を持っているのです。
サメの歯(提供:PhotoAC)サメの歯は顎の内部で常に形成されているので、予備の歯が常に奥に控えているような状態です。
割れや欠けで弱くなった歯や古くなった歯が抜け落ちると、すぐに後ろから新しい歯が押し出されてきます。数日から数週間ほどで新しい歯が前方へ移動してくるので、サメは常に鋭い歯を維持できるようになっているわけです。
虫歯になりにくい歯
そして、サメの歯はエナメル質でできており、その最表面層が強い耐酸性と強度を持つフッ化アパタイト(フッ化リン酸カルシウム)からできています。このようにもともとサメは強い歯を持っているため、虫歯になりにくいのです。
もし仮にサメが虫歯になったとしても短期間で歯が生え変わるので、どちらにしても虫歯で悩まされるということはなさそうです。
サメの歯の進化
実はサメの歯は、かつて鱗だったものが時間をかけてゆっくりと口内へ入り込み、歯へと進化した可能性が高いと言われています。
そのためか歯には根がなく、骨の上に乗っているだけの歯を歯茎が支えているような状態です。ある意味、サメは最初から抜けやすい歯に進化したわけですが、それは常に万全な状態で狩りをするためだと言えるでしょう。
歯そのものは強く丈夫なのに、抜けやすいというのもギャップがあって、なんだかサメがより愛おしくなりますね。
抜けやすい歯でも虫歯になりにくく、いくらでも生え変わる歯はうらやましく思います。
(サカナトライター:妖精社)