メダカは日本人にとって身近な魚です。
観賞用だけでなく、モデル生物として様々な研究にも用いられているメダカですが、実験内での研究結果の信憑性を高めるために、野外におけるモデル生物の行動や生理機能を理解することは極めて重要だとされています。
そうした中で、大阪公立大学大学院理学研究科の近藤湧生特任助教らの研究グループは、メダカの繁殖リズムを実験室と野外で比較し、環境によって排卵のタイミングが異なることを明らかにしました。
この研究成果は「Royal Society Open Science」に掲載されています(論文タイトル:Temporal shifts in ovulation between laboratory and semi-natural environments in the model fish medaka)。
モデル生物としてのメダカ
メダカは小型で飼育が容易なことから観賞魚として用いられるほか、毎日のように産卵するため、研究分野においてはモデル生物として活用されています。
メダカを使った研究は多岐にわたり、遺伝学や発生学、医学にも用いられているようです。
メダカ(提供:PhotoAC)メダカは意外と調べれていない
実験内での研究結果の信憑性を高めるために、野外におけるモデル生物の行動、生理機能への理解が必要不可欠です。
これまでのメダカ研究は、明るさや温度を調節でき、観察が容易な点から実験室で行われてきました。一方、自然下におけるメダカの生活については、ほとんどが調べられていなかったといいます。
野外と実験室の違い
研究グループはこれまでに、メダカの繁殖に関する行動を研究してきました。
それによって、野外におけるメダカの産卵行動が深夜から開始していること、実験室と野外では求愛や産卵行動の開始時刻に3~4時間のずれがあることがわかっています。
また、メダカは産卵行動の前に排卵という生理的な変化がメスに起こりますが、排卵のタイミングも実験室と野外で変化するのかは謎に包まれていました。
排卵のタイミングにずれを発見
そこで、研究グループは実験室環境と野外に設置した野外に近い環境の2つの条件を用意。同じ系統のヒメダカを用いて、排卵のタイミングの観察が行われました。
観察の結果、実験に用いられたメスの半数は排卵を完了するまでに、野外に近い環境では日の出の約4.2時間前、実験室環境では、照明点灯の約0.7時間前だったとのこと。
このことから、野外に近い環境のメダカは実験室よりも約3.5時間早く排卵していたことが明らかになりました。
メダカ(提供:PhotoAC)これについては、同じ系統のヒメダカを用いたことから、排卵タイミングのずれは飼育環境の違いが要因とされています。
具体的には、実験室環境では突然、人工光が点灯・消灯する一方で、自然環境では明るさが緩やかに変化すること、水温が日々変化することが原因と考えられています。
ずれの原因を特定する必要がある
今回の研究によって、実験室環境と野外に近い環境ではメダカの排卵タイミングが異なることが明らかになりました。
研究グループは、今後、実験室環境と野外環境で行動や排卵のタイミングにずれを生じさせている要因を特定し、それが排卵のタイミングをどう抑制しているのか明らかにする必要があるとしています。
(サカナト編集部)