総合生産科学研究科(水産学部)の河端雄毅准教授らの研究グループは、カニの横歩きが約2億年前の共通祖先に由来する可能性が高いことを明らかにしました。
この研究の成果は「eLife」に掲載されています(論文タイトル:Evolution of sideways locomotion in crabs)。
カニの横歩き
カニの横歩きはカニ下目を特徴づける行動です。
しかし、カニ下目の中には前歩きをする種も多数存在するほか、近縁のヤドカリ下目でも主に前歩きをするといいます。
砂浜のカニ(提供:PhotoAC)では、横歩きはいつどのようにして進化したのでしょうか。
横歩きは一度の進化で獲得したのか、また、横歩きの獲得とカニの多様性は関係性があるのかどうか。
総合生産科学研究科(水産学部)の河端雄毅准教授らは、これらの疑問に答えることを目的に研究を行いました。
50種の移動データ
今回の研究では、合計50種ものカニの移動データが取得されています。
各種カニについて1個体を選び、生息環境を模した水槽で10分間、ビデオになる記録が行われました。このデータに基づき、移動様式を分類した結果、35種が横歩きで15種が前歩きであると判定されています。
次に、得られたデータを最新の系統解析と統合し、解析単位を属・科・上科レベルに整理。その上で進化史の再構築が行われました。
その結果、横歩きは前歩きをする単一の祖先から一度だけ進化し、その後、大きく失われることなく維持してきたことが示されています。
移動様式と環境変化で多様化
カニの横歩きが起源したと推定される約2億年前は、三畳紀末の大量絶滅後にあたる前期ジュラ紀です。
チゴガニ(提供:PhotoAC)横歩きは左右に素早く移動できることに加え、逃げる方向が予測できないことから、捕食者から逃れるために有利に働くと考えられています。
また、この時代はパンゲア大陸の分裂や浅海域の拡大により、カニ類が利用できる環境が広がったことも、カニの多様化に寄与した可能性があるようです。
これらは、カニ類の多様化に移動様式の進化と、環境変化の両方が関わっていた可能性を示すものとなりました。
化石情報を調査し関係性をさらに検証
今回の研究によって、カニの横歩きが単一の前歩きをする祖先から一度だけ進化し、その後、ほとんど失われることなく維持してきたことが明らかになりました。
また、横歩きの起源は約2億年前であり、カニの多様化は移動様式と環境変化が関わっている可能性が示されています。
今後は、化石情報や横歩きの利点を調べることで、横歩きと多様化の関係性をさらに検証することが期待されています。
(サカナト編集部)