釣った魚はいったい何歳なんだろう──なんて考えたことはありませんか?
とはいえ、サイズからおおよその見当はつくものの、正確な年齢はわからないですよね。
研究の世界では、資源管理や生態の理解に欠かせない情報として、魚の年齢が調べられています。では、研究者はどうやって魚の年齢を推定しているのでしょうか。
筆者は、水産学部の学生時代に基礎を学び、その後ラトビアで研究者として働いていた頃には、さまざまな淡水魚の年齢査定を数多く行いました。その経験も交えながら紹介します。
硬い組織に刻まれた年齢を読む
魚の年齢査定にはいくつかの方法がありますが、もっとも一般的なのは、硬い組織に刻まれた成長輪(年輪)を数える方法です。
木の年輪と同じように、魚も成長のリズムに応じて輪が形成されます。ここでは代表的な耳石・ウロコ・骨を使った方法を紹介します。
耳石による年齢査定
耳石(じせき)は、脳の近くの内耳にある炭酸カルシウムの小さな石です。
この耳石には、毎年形成される「不透明帯」と「透明帯」が交互に並び、その数を数えることで年齢を推定します。
5歳のラッフ(ペルカ科)の耳石(提供:Polo the Rat)「多くの魚で使える」「精度がもっとも高いとされる」という利点がある一方で、採取と前処理が難しいのが悩ましいところ。実際、私がスメルト(キュウリウオ科)の年齢査定をしていたときは、1mm以下の小さい耳石を扱っており、採取中に紛失してしまったことも。
さらに、耳石を樹脂に埋め、切断し、表面を研磨し、着色して観察する……と、準備が大変でもありました。
ウロコによる年齢査定
ウロコには、季節ごとの成長差によってできる成長線があり、これが年輪として観察できます。
顕微鏡で観察するだけでよく、採取は簡単で保存しやすいのが大きなメリット。ただし、ウロコは再生するため、古い年輪が失われていることもあり注意が必要です。
3歳のブリーム(コイ科)のウロコ(提供:Polo the Rat)コイ科の魚のようにウロコが大きい種類では、肉眼でも年輪を読み取れることがあります。
骨による年齢査定
脊椎骨などの骨にも年輪が形成されます。
サメ類・エイ類・マグロ類などの年齢査定でよく使われる方法です。種によっては煮沸後に脱脂処理が必要など、手間がかかることもありますが、比較的扱いやすい素材です。
私が経験したのはノーザンパイクの脊椎骨や擬鎖骨(ぎさこつ)、ヨーロピアンパーチの鰓蓋骨(さいがいこつ)(※擬鎖骨・鰓蓋骨いずれもエラ周辺の骨)などを使った方法でした。
4歳のパイクパーチ(ペルカ科ザンダー属)の鰓蓋骨(提供:Polo the Rat)煮沸して肉片を取り除いたあとは、乾燥させるだけで観察できました。
そのほかの方法
魚の種類や研究目的によって、上記以外のさまざまな年齢査定法が使われています。
例えば、「サメの背びれの棘にできる年輪を数える方法」「年齢とともに変化するDNAメチル化パターンを調べる方法」「AIによる画像解析を使った自動年齢査定」などがあり、技術の進歩とともに、より精度の高い・効率的な方法が開発されています。
魚の年齢査定を試してみよう
私たちが手軽に試せるのは、ウロコや骨を使った方法です。
汚れを落とし、洗って乾燥させるだけで観察できます。釣った魚やスーパーで買った魚など、ぜひ試してみてください。ウロコや骨をじっくり見ると、うっすらと年輪が見えることがあります。
その輪を数えられたら、あなたも立派な年齢査定士。魚の一生を想像しながら観察すると、いつもとは違った視点で魚を見られるかも。
(サカナトライター:Polo the Rat)