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関東と関西で違う魚を指す<シンコ> コノシロとイカナゴを紹介

シンコときいて、皆さんはどんな魚を思い浮かべますか? 関東地方ではシンコというと、コノシロの幼魚のことです。しかし、西日本ではイカナゴの幼魚もシンコと呼ばれています。この記事では、ふたつのシンコについて紹介します。

コノシロの稚魚<シンコ> 江戸前寿司の華

コノシロはニシン目ニシン科に分類される、木の葉のように平たく、幅が広めの魚です。出世魚として知られており、関東地方では、4~5センチの幼魚をシンコ、7~10センチのものをコハダ、13センチ程のものをナカズミ、25センチ以上のものをコノシロと呼びます。地方によっても呼び方が変わり、関西では幼魚のことをツナシ、三重県伊勢地方ではサッパと呼びます。

コハダ(提供:PhotoAC)

シンコは6~8月頃に旬を迎えます。一年のうちごく限られた時期にしか市場に出回らないため、高値で扱われます。シンコは江戸前寿司に欠かせないネタとして古くから有名です。シンコの握りの仕込みには高度な技術が必要とされ、「トロは仕入れが8割、シンコは仕込みが8割」といわれています。この繊細さから、職人の腕前がわかるネタとしても名が知れています。

シンコの握り(提供:PhotoAC)

イカナゴの稚魚<シンコ> 関西に春を告げる郷土料理

関西ではイカナゴの幼魚がシンコと呼ばれています。イカナゴはスズキ目ワニギス亜目イカナゴ科に属する魚です。コノシロとは違って細長い見た目が特徴です。こちらのシンコは3~4センチの小魚で、3月頃に獲ることができます。このことから関西では春を代表する魚でもあり、大阪府の春を代表するプライドフィッシュに選定されています。

イカナゴシンコ(提供:PhotoAC)

兵庫県、大阪府ではシンコを使ったくぎ煮という郷土料理が親しまれています。くぎ煮は佃煮のひとつで、新鮮なシンコと醤油、砂糖、みりん、酒、生姜などを水分がなくなるまで炊き込んだものです。ほかにも、釜揚げやちりめんとして加工され、地元の人々に愛されています。春が来ると、生のシンコやくぎ煮をはじめとした加工品が出回り、春の知らせを届けます。

くぎ煮(提供:PhotoAC)

兵庫県と大阪府は、毎年新鮮なシンコをより多くの消費者に提供することを目的に、両府県の漁業者が強調して解禁日を設定し、期間を決めて漁を行っていますいかなご漁について-兵庫県)。この取り組みは平成5年頃から始まったものです。毎年2月中旬頃に試験操業を行い、採集されたイカナゴを解析して、その情報をもとに解禁日を決定しています。

近年、イカナゴの資源量は減少傾向にあります。今後に向けて多くのイカナゴを残すため、平成29年から以前より早めの終漁日を設定しているそうです。

シンコは同じ呼び名でも土地によって魚種が変わる紛らわしい魚です。しかし、お互い昔から地域の人々に愛されてきた魚であることに変わりはありません。シンコたちが築いてきた文化を今後も守っていきたいですね。

(サカナト編集部)

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