ヤツメウナギはビタミンAを多く含み、日本では古くから滋養強壮や夜盲症の薬として知られてきました。
筆者が暮らす北欧バルト三国のひとつ・ラトビアでは、ゼリー寄せや燻製として親しまれる高級珍味であり、伝統食でもあります。
「珍味」といわれるヤツメウナギは一体どんな味がするのか。気になって、実際に手に入れて食べてみました。
ヤツメウナギとはどんな生き物?
ヤツメウナギは、にょろりとした姿から「ウナギ」と名付けられていますが、実はウナギとはまったく異なる生き物です。
名前の由来は、体の両側に並ぶ7つの鰓孔+本物の目=8つの「目」に見えることからきています。
日本に生息するヤツメウナギ科(提供:PhotoAC)そもそも、ヤツメウナギは厳密にいうと分類学的に魚ではありません。円口類(無顎類)という原始的な脊椎動物の仲間です。
円口類は「顎がない」「左右対のヒレをもたない」「骨格は軟骨」「 脊椎の代わりに太い脊索を持つ」という特徴をもち、“生きた化石”とも呼ばれます。
顎の代わりに吸盤状の口をもち、他の魚に吸い付いて体液や血を吸うという、独特な生活を送ります。
特殊な生態で、漁獲量は減少
世界中の寒冷な淡水域に広く分布していますが、「幼生期が長い(3~7年)」「変態がデリケート」「成体は寄生生活」「産卵後に死ぬ」という特殊な生態のため、養殖はほぼ不可能です。
近年は、環境破壊や河川改修によって生息環境が失われ、世界的に漁獲量が減少しています。
中央市場で探して買ってみた
ラトビアで食べられているのはヨーロッパカワヤツメ(Lampetra fluviatilis)という種。普通のスーパーマーケットではあまり見かけないので、多くの食材が集まる首都リーガの中央市場へ探しに行きました。
海鮮コーナーを歩いていると、ついに「焼いたヤツメウナギのゼリー寄せ(Cepti Nēģi Želejā)」を発見。
焼いたヤツメウナギのゼリー寄せ(提供:Polo the Rat)大きな樽に入ったものから、持ち帰りやすいプラスチック容器入りまでさまざま。一番小さな容器は200gで10ユーロ(約1840円)となかなかの高級品です。
<焼いたヤツメウナギのゼリー寄せ>の味は?
蓋を開けてみると、25cmほどのヤツメウナギ3尾がゼリーに埋もれて並んでいました。
焼いたヤツメウナギのゼリー寄せ(提供:Polo the Rat)まずはそのまま食べてみると……濃厚な脂を含んだ川魚の旨味が広がり、ほんのりとした苦みと香ばしさ。ゼリーは塩気があり、さっぱりとした味わいで、脂の強さをうまくまとめてくれていました。
(提供:Pol the Rat)身の食感は独特で、むっちりとして弾力があり、骨は柔らかく、頭からしっぽまで丸ごと食べられます。
日本人としては、白いご飯とよく合う味だと感じました。
ラトビアではパンと魚の組み合わせが定番
ちなみに、ラトビア人は黒パンにバターを塗って、ヤツメウナギを乗せて食べるのが定番。
パンと魚の組み合わせに驚くかもしれませんが、これが意外に合うのです。
日本では北日本の日本海側が産地で、蒲焼きや鍋で食べるようですね。機会があったら、日本式の味もぜひ試してみたいと思います。
(サカナトライター:Polo the Rat)