持続可能な開発のための教育のことを「ESD(Education for Sustainable Development)」と呼びます。
難しそうな言葉ですが、簡単に言うと「経済と環境のバランスがとれた安心して暮らせる未来を目指して、考え行動する人を育てるための学び」のことです。
岡山市京山地区で2003年から続くESD活動の一つに「環境てんけん活動」があります。
今回、筆者は「春の環境てんけん2026」に参加。ここで見られた生き物と調査内容について紹介します。
身近な生き物についての調査
環境てんけん2026では、岡山総合グラウンド付近に植えられている樹木や野生の草本、昆虫、近くの用水路に生息する生きものなどを調査しました。
水辺付近の生き物では、トンボや魚を見ることができました。
尾にあるウチワのような突起が特徴のウチワヤンマ(提供:額田善之)トンボは成体だけでなく、幼生のヤゴも捕獲。サナエトンボの仲間やハグロトンボのヤゴなどが見つかり、子どもたちは形の違いに興味津々です。
長い体長が特徴的なハグロトンボのヤゴ(提供:額田善之)ガサガサによる調査
水辺の生物調査は網を使った“ガサガサ”で行いました。
網は必ず下流側の岸ギリギリにセット。上流側から素早く生きものを追い込むと魚などを捕獲できます。
下流から上流へガサガサ中(提供:額田善之)魚は泳ぎが得意なので、もたもたすると逃げられるため注意が必要です。
ゴミを回収して環境保全も
SDGsやESDの観点で環境保全をすれば、魚たちの生育環境を少しでも守れます。
そのため、定期的なゴミ拾いをしたり、川の中を歩いてヘドロを拡散させ水質改善を図ったりする活動は大切です。
川で拾ったゴミの一部(提供:額田善之)捕獲できたサカナたち
今回のガサガサ調査では、ヤリタナゴやカワヨシノボリ、ドンコ、メダカ、ムギツクなどの魚を捕獲することができました。
また、ミナミヌマエビ、ハグロトンボのヤゴ、サナエトンボのヤゴ、アメリカザリガニ、タイワンシジミ、カワニナ、マツカサガイ、ヒル、ナミアメンボ、ヒメアメンボ、ミシシッピアカミミガメ、クサガメなども採集されています。
色々な魚や貝などが取れました(提供:額田善之)一方、これまで見つかっていた生き物が確認できなかったり、数が少なかったりと、確実に生態系が変わりつつあることを実感しました。
ゲンジボタルとカワニナの捕食関係
今回、採集された生き物の1つカワニナはゲンジボタルの唯一のえさです。
そのため、カワニナが居なくなるとゲンジボタルが居なくなります。ゲンジボタルとカワニナは絶対的な捕食関係にあるため、ホタルの保全にはまずカワニナの保全が必要なのです。
マツカサガイ(左)とカワニナ(右)(提供:額田善之)また、マツカサガイとヤリタナゴ、カワヨシノボリがセットで見つかったことは、この川の生態系がなんとか維持されていることを示唆しています。
ヤリタナゴはマツカサガイのエラに卵を産みつけるため、マツカサガイが欠かせません。逆にマツカサガイの稚魚はカワヨシノボリのエラに寄生しなければ生息範囲を拡大できません。この3者のうち、どれかが欠けても生態系は維持できなくなります。
つまり、生態系を維持できるように、広い視野でそれぞれの生きものの生息環境を保全することが大切です。
ヤリタナゴなどの魚たち(提供:額田善之)なお、今回、正体がはっきりしないタナゴが捕獲されたのですが、これは恐らく外来種か交雑種と見られ、放流などによるものと思われます。
貴重なタナゴ類が生息する岡山県の河川においては、外来種の移入により生態系の維持が危機的状態にあります。全国どこであっても、国内外来種も含め外来種の放流は絶対にやめましょう。
地域のガサガサイベントに参加しよう
地域の調査に参加することで、身近な川の生態系を知ることができます。そして、その生態系を守るためにできることを考えてみてください。
砂川での生きもの調査の様子(提供:額田善之)例えば、ゴミのポイ捨ては止める、川を汚さない、外来生物を放さない、希少な魚を捕獲しないなど色々な対策が考えられるでしょう。
ぜひ、美しい自然やその場所にしかない貴重な生態系を未来に残すため、川掃除や生きもの調査などに積極的に参加してくださいね。
(サカナトライター:額田善之)