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岡山県の淡水魚を多数展示! 自宅を改装した<岡山淡水魚水族館>に行ってみた 小さいけど本格的?【岡山市南区】

魚が好きな人の中には、趣味として魚を飼育している人もたくさんいます。

岡山市南区に住む中田秋穂(なかだ・ときほ)さんもその一人で、とにかく淡水魚が好きすぎて、自宅は水槽でいっぱい。

そんな自宅の一部を改装し、展示しているのが「岡山淡水魚水族館」です。

自宅の一部を改装して「水族館」に?

岡山市南区にある中田秋穂さんが自宅の一部を改装した岡山淡水魚水族館。同館には、岡山県内に生息する純淡水魚と通し回遊魚(淡水と海の間を往き来する魚)が飼育展示されています。

淡水魚の水槽(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

“無料の子ども学習用水族館”という触れこみですが、大人でも見学可能。ただし、個人で運営しているため、見学の際には必ず事前予約が必要です。

開館日は3月15日から11月15日ごろまでで、冬季は魚たちの活性が低いこともあり、閉館しています。

淡水魚は3つに分けられる

岡山淡水魚研究会の古参メンバーでもある中田さんによると、淡水魚は「純淡水魚」「通し回遊魚」「周縁性淡水魚(しゅうえんせいたんすいぎょ)」の3つに分けられるとのこと。

純淡水魚はコイやフナ、タナゴ、ドジョウなど一生を川や湖などの淡水で過ごす魚、通し回遊魚はウナギやサケなど産卵や成長のために川と海を行き来できる魚、周縁性淡水魚はボラやスズキ、クロダイ、マハゼなど基本的には海水魚でがあるものの一時的に淡水域でも生息できる魚のことです。

実は“淡水魚”というくくりだと、このようにとてもたくさんの種類の魚が該当するのです。ただ、一般的に淡水魚といえば、純淡水魚と通し回遊魚が当てはまると考えればよいでしょう。

岡山県は淡水魚の聖地!

岡山県には一級河川が3本もあり、豊富な水資源と豊かな自然が残っていることもあって、日本でも有数の淡水魚の宝庫となっています。

過去に岡山理科大学の学生が描いた岡山の淡水魚の絵や岡山淡水魚研究会が監修したカレンダーなどからも魚種の豊富さが垣間見られます。

手書きの絵と昭和54年度のカレンダー(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

1984(昭和59)年に地元紙である山陽新聞社が発行した『岡山の淡水魚(岡山淡水魚研究会解説)』には、純淡水魚と通し回遊魚で67種、周縁性淡水魚が27種の計94種の魚が掲載されています。これが全てではないにしろ、とにかく淡水魚の種類が多いことはご理解いただけるでしょう。

しかし、現在はいくつかの種が発見できなくなっており、魚種が少なくなっていることは間違いありません。

岡山淡水魚水族館の目玉展示は?

岡山淡水魚水族館には多数の魚が飼育されています。そして、目玉展示と言える魚もいるのです。

サンヨウコガタスジシマドジョウ

サンヨウコガタスジシマドジョウ(学名:Cobitis minamorii minamorii)は、コイ目ドジョウ科シマドジョウ属に分類される日本固有種の魚。近年は生息環境の悪化により激減しており、環境省のレッドリストで最も絶滅の危険性が高い絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されています。

また、岡山県と広島県でも絶滅危惧I類に指定されている希少な魚です。

サンヨウコガタスジシマドジョウ(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

以前はスジシマドジョウの小型種山陽型と呼ばれていましたが、別種になりました。全長は5〜10cmほどの小型のドジョウで、砂地や砂交じりの泥底に生息し、ユスリカの幼虫などをエサにします。

背中に不規則な斑紋があり、体側には不規則に途切れる2本の縦条があるのが特徴です。ヒゲは3対あり、スマートな印象のドジョウです。

カワイワシ

カワイワシ(学名:Hemiculter leucisculus)は、コイ目クセノキプリス科の魚で、中国や朝鮮半島、ベトナムなどの東アジアに生息しています。

日本では2000年以降に岡山の百間川(ひゃっけんがわ)に移植された外来種であり、どんどん生育域を広めているそうです。今後生態系に大きな影響を及ぼす場合、特定外来種に指定されるかもしれません。

カワイワシ(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

名前の由来は、海に生息するイワシに似ているから。鱗が薄く、はがれやすい事や姿が似ていますね。

カワイワシには、腹部キールという鱗のない鋭い肉質の隆起があるのが特徴です。

キール(keel、竜骨)は船の背骨に例えられ、強度保持や安定航行の役目を担う重要な構造物ですが、魚におけるキールは、腹部の一部や尾びれ付け根などに現れる竜骨(りゅうこつ)状の突起です。

船の船底にも竜骨がある(提供:PhotoAC、一部改変)

キールは、外敵からの防御や遊泳時の姿勢制御に役立つとされ、キールの有無で魚の種類を見分けることもあります。

チョウセンブナ

チョウセンブナ(学名:Macropodus ocellatus)はスズキ目ゴクラクギョ科の外来魚。体は側扁(左右に平べったい)、背ビレと尻ビレの基底が長い、鰓ブタの後縁に青色斑がある、綺麗な体色であることなどが特徴です。

また、空気呼吸もできる魚でもあります。

チョウセンブナ(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

鰓ブタにある青色斑はオヤニラミにもありますが、煌びやかでとても美しいワンポイントです。

チョウセンブナは朝鮮半島から中国にかけて生息する魚で、日本に移殖されたものの、現在は岡山県、茨城県、長野県、新潟県、愛知県でしか確認されていません。なお、岡山県には日本住血吸虫駆除のために移殖されたそうです。

名前の由来は朝鮮半島由来でフナに似ているからという理由ですが、フナとは関係のない種類の魚です。オスが卵を守る際の攻撃性が非常に高いことから、トウギョ(闘魚)とも呼ばれます。

ニゴイとコウライニゴイ

岡山淡水魚水族館の目玉展示といえば、ニゴイ(学名:Hemibarbus barbus)とコウライニゴイ(学名:Hemibarbus labeo)の水槽です。ニゴイはコイに似ているから似鯉という名が付きました。

日本のニゴイ類はニゴイとズナガニゴイ(学名:Hemibarbus longirostris)の2種とされていましたが、ニゴイにはニゴイとコウライニゴイがいることが近年明らかになったそうです。

ニゴイもコウライニゴイもコイ目コイ科の魚ですが、ニゴイは日本固有種で、コウライニゴイはロシアからベトナムまで分布する種で日本でも確認されました。

左がニゴイで右がコウライニゴイ(撮影:額田善之/撮影場所:岡山淡水魚水族館)

同館の発足メンバーである中田さんはこの2種の違いに興味を持ち、見た目で区別する方法を見つけるために捕獲し何年も飼育しているそう。

中田さんによると、口の付き方やお腹のふくらみ、ヒレの模様などが異なるとのこと。じっくり見るとその違いが分かりますが、この微妙な差異を見つけるなんて、さすが研究者なみの観察眼だと感動しました。

コウライニゴイは口が下に付いていて、お腹もスッキリしたラインで、ヒレにはほとんど模様がありません。底を狙うルアーで釣れるため底生性であり、これが形態的にニゴイとの違いを生んでいるのではないかという考察でした。

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額田善之

額田善之

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愛媛大学理学部生物学科卒で岡山淡水魚研究会所属の魚大好きライターです。オートバイで旅をして産地の珍しい魚を食べるのが趣味で、子どもと水族館巡りや釣りをして楽しんでいます。水生生物だけでなく、旅行や納豆の記事も執筆しております。よろしくお願いいたします。

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