日本では今のところ小笠原諸島でのみ観測が確認されている貴重なサメ、シロワニ。海でこんなサメにあったらどうなっちゃうの!?と思ってしまう凶暴そうな見た目ですが、どんなサメなのでしょうか?
この記事では、シロワニの生い立ちや性格についてご紹介します。
シロワニってどんなサメ?
シロワニはネズミザメ目シロワニ科に属するサメ。暖かい海の沿岸に生息しています。
ギロっとした目と鋭い歯を持ち、一般に「サメの絵を描いて」と言われたら想像するであろうサメの典型的な形をしています。
英名でSand Tiger Sharkと名付けられている通り、体の色は砂のような黄土色・灰色を混ぜた色が特徴的です。成魚で3メートルほどの大きさとなることから、ずっしりとした迫力があります。
シロワニは夜行性です。昼間や夕方は、岩陰でじっとしていたり、ゆっくりと回遊をしています。
シロワニの壮絶な生い立ち、お腹の中で共食い
シロワニは、お母さんのお腹の中で卵から赤ちゃんが孵る卵胎生です。
ここからがちょっと衝撃的。初めに孵った子は、周りにある未受精卵や受精卵、さらには卵から孵った兄弟も捕食し育ちます。そして、最終的に子宮の中で勝ち残った1匹だけが生まれてくるのです。
これは「卵食・共食い型」という繁殖方法で、サメだけではなく生物全体においても珍しい繁殖方法です。生まれた瞬間から生存争いをする弱肉強食の世界です。
シロワニと人の関わり
そんなシロワニですが、見た目や生い立ちとは裏腹に性格は温厚でおとなしく、人間を襲うことも滅多にありません。ダイビング中に出会っても問題のないサメです。
ですが、人間はシロワニを襲った過去があります。シロワニはIUCNのレッドリストに絶滅危惧種IB類(IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)として登録されています。
要因として考えられることは、先述の繁殖方法で繁殖率が元々低いということもありますが、ゲームフィッシングでの乱獲も見逃せません。サメの寿命は長いので、何十年も前の乱獲が今に影響しています。
日本では、生息が確認できている小笠原諸島だけではなく、水族館でもシロワニの保全に注力しており繁殖に挑戦しています。水族館でシロワニを見かけたら、ぜひその壮絶な生い立ちに想いを馳せながら観察してみてください。
(サカナトライター・百葉)