広大な海の中で優雅に舞う巨大な生き物、マンタ。 海に潜っているときのマンタとの邂逅(かいこう)は、まるで宇宙船に出会ったような不思議な感覚をもたらします。
この記事ではマンタの神秘に迫ります。
マンタとは?
マンタはトビエイ目イトマキエイ科に属するエイの仲間です。一般的に想像する「魚」とは違う姿かたちをしていますが、彼らも立派な魚類。魚類のなかでも、軟骨魚類というグループに属します。
マンタという名前はスペイン語で毛布・コートを意味する言葉です。大きな胸ビレがあり、体全体が平たいことからマンタと呼ばれるようになりました。
「サメ」と一口に言ってもいろいろな種類があるように、マンタもエイの中の一種なのです。 それでは、他のエイとはどのような違いがあるのでしょうか。
マンタと他のエイの違い
マンタと他のエイでまず違うのは食性です。マンタは海中のプランクトンを捕食しますが、一方エイは貝や甲殻類などの底生生物を好みます。
食べるものに伴って泳ぎ方も異なります。マンタはプランクトンを求め、海の表層~中層を胸ビレを大きく動かし、海中を羽ばたくように泳ぎます。 エイは底生生物を求め、胸ビレを波打つように動かすことで、海底を静かに移動します。
そして、顔にも違いがあります。マンタは目・口が前方に向かってついているのに対して、エイの目は背面に上向きに、口は腹部の下向きについています。
最後に、これは見た目からは分かりづらいのですが、マンタには毒針がなく、エイは毒針を持っているという違いもあります。
マンタはエイの最大種であるだけでなく、海に生息する生き物の中でも大きな体を有しています。このことから敵が近寄らなくなったため、毒針が不要になったと考えられています。マンタ、強いですね。
マンタの知られざる生態
マンタというと、その美しい見た目に気を取られてしまいがちですが、実は生態も興味深い生き物です。マンタは脳が体全体に占める割合で見ると、魚類最大の脳を持っていると言われています。
まだまだ謎に包まれていることが多いですが、一説によると個体を認識したり、餌を譲り合うといった社会行動をとるともいわれています。
そして、マンタは眠らないと言われています。 前述の通り、マンタは回遊性のためじっとしている姿を見ることはありません。 これは「止まらない」のではなく、実は「止まれない」のです。
彼らは口を開けて泳ぎ、海水に溶け込んだ酸素を取り入れるラムジュート換水法という呼吸法で生きています。止まってしまうと酸欠になってしまい、窒息死してしまうのです。
そのため、人間のようには眠らずいつも泳いでいます。
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