皆さんはジュゴンを知っていますか? 海に生息する哺乳類の一種「海牛目」に分類されるジュゴンは、水中をゆったりと泳ぐ姿やユーモラスな顔つきが可愛らしく、海の癒し系生物として知られています。
今回は、私が愛してやまない水生生物ジュゴンについて、その魅力や生態をお届けします。
ゆったりした動きが魅力的なジュゴン
水中をゆったりと優雅に泳ぐ姿が魅力的なジュゴンは、海に生息する哺乳類の一種「海牛目」に分類される水生生物です。体長は約3メートルで、体重は450キロほど。細かい触覚毛に覆われた灰色の体表を持っており、熱帯から亜熱帯の浅い海域に生息しています。
ジュゴンの魅力はなんといっても、その穏やかでユーモラスな顔つき、そして丸みをおびた可愛らしいフォルム。海中でのんびりと海草を食べる姿はまさに癒しそのものです。
ぼうっと眺めているだけでなんだかホッとすると感じる人も多いのでは?
ジュゴンが「人魚のモデル」であると言われるのはなぜ?
ジュゴンが「人魚のモデルとなった生物」であるという話を耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか。この一説は、ジュゴンの見た目の様子から生まれたと言われています。
なんでもジュゴンが赤ちゃんにお乳をあげる際、体を持ち上げて前足で子どもを抱えるようにしていた姿が、座っている人魚を思わせるものだったのだとか。
ジュゴンのまとうどこか神秘的な空気感が、伝説の存在である人魚を連想させたのかもしれませんね。これは何らかの科学的裏付けに基づいた説ではありませんが、ジュゴン好きとしては非常に興味深いエピソードの一つです。
絶滅危惧種であるジュゴンを守ろうとする沖縄の人々
以前は、沖縄近海にてよく目撃されていたジュゴン。しかし近年は、環境汚染による生育環境の悪化により、発見される個体数が著しく減少していることが報告されています。
現在、沖縄ではジュゴンを守るため、さまざまな保護活動が進められています。ジュゴンの保護は、決して沖縄だけの問題ではありません。同じ日本人として、私たち一人ひとりに環境問題について考える義務があると言えます。
筆者は、大好きなシンガーソングライターCoccoの楽曲『ジュゴンの見える丘』や、彼女の出演する映画『人魚に会える日。』をきっかけに、ジュゴンに興味をもつようになりました。
それまでは恥ずかしながら、ジュゴンが環境省レッドリストおよび沖縄県レッドデータブックにおいて「絶滅危惧種IA類」に指定されていることすら知らなかったのです。
人間と生物がともに笑って、手を取り合って生きていける世界をつくることははたして可能なのでしょうか。ジュゴンとの出会いをきっかけに、私自身も生涯、この問題に真摯に向き合っていきたいと思っています。
(サカナトライター:糸野旬)