赤い鎧を着こんでいるように見える姿が印象的な海水魚「アツモリウオ」の名前は、平安時代末期の武将・平敦盛にちなんで名づけられたといわれています。
この記事では、アツモリウオが持つ体の特徴や分布、由来が近い生き物について解説します。
「アツモリウオ」ってどんな魚?
アツモリウオはスズキ目トクビレ科に属する比較的小型の海水魚で、体長は通常10〜20センチ程度です。体全体は細長く、眼の真上と後ろに2か所に鋭く尖った突起があります。全体的に角ばった印象のある輪郭が特徴で、体表は硬く厚い骨板に覆われています。
体色は赤や褐色であることが多く、色の濃淡や体表の模様は個体によりそれぞれ異なります。
生息地は北海道~青森県あたりにかけての北日本沿岸やオホーツク海などで、普段は水深10~120メートル程度の砂泥地や岩礁域に生息しており、砂や泥に潜り込んで天敵から身を隠すことが多いです。
アツモリウオは漢字で「敦盛魚」
アツモリウオは、漢字で「敦盛魚」と書きます。敦盛(あつもり)とは、平安時代末期の武将・平敦盛のこと。
赤い甲冑を身にまとったようなアツモリウオの外見が、平敦盛が身につけていた赤い鎧と背中に付けた母衣の様子によく似ていることから、このような名前が付いたのだそう。
余談ですが、平家にちなんだサカナは他にもいます。
例えば、ヘイケガニは壇ノ浦の戦いに敗れた平氏の無念が宿っていると言われています。歴史の物語になぞらえた名称を見た目が印象的な生物に付ける風習は、日本人らしく風情があって面白いですね。
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