南米に広く分布するナマズの仲間・オトシンクルスは、水槽内の藻類を食べてくれるため「水槽の掃除屋さん」と呼ばれ、熱帯魚好きのあいだで広く親しまれています。
この記事では、オトシンクルスの生態や特徴について解説します。
「オトシンクルス」ってどんな魚?
オトシンクルスは、ナマズ目ロリカリア科に属する淡水魚。体長は4~5センチほどで、細長い流線型の体を持っています。
通常、体色は灰色がかった茶色。多くの個体は体の側面に濃い縦のラインが入っています。吸盤状の細長い口を持っており、水槽の壁面や水槽内の植物、流木などにぴったりと貼りつくことができるのが大きな特徴です。
また、オトシンクルスは非常におとなしい性質を持つ魚です。そのため、比較的ほかの魚と混泳させやすいといわれています。
コケ取り生体として知られるオトシンクルス
水槽の内壁や植物などにぴったりと貼りついたオトシンクルスは、吸盤状の口でこそぎ落とすようにしながら水槽内のコケや藻類の表皮などを食べます。
このように水槽内のゴミを自発的に食べてくれるオトシンクルスは、水槽内の掃除屋としての役割も果たしています。そのため、近年は観賞魚としてだけでなく、アクアリウムを清潔に維持するために有用な存在としても注目されています。時には「コケ取り用のクリーナー生体」などと呼ばれることも。
吸盤状の口を尖らせるようにしながらコケを食べる様子がとても可愛らしいので、アクアショップなどで見かけたらぜひ注目してみてくださいね。
オトシンクルスに餌は必要?
水槽内に生えたコケを自発的に食べてくれるオトシンクルスですが、餌は必要なので注意しましょう。水槽飼育では十分な量のコケが生えないこともあり、栄養状態の崩れや餓死につながります。
プレコやコリドラスといった底生草食魚用の沈下性タブレットを与えるのがおすすめです。人工飼料に慣れるには時間がかかることもありますので、それまではアカムシなどの生餌や、小さな野菜などを併せて与えてみてください。生餌や野菜は水が汚れる原因になりやすいので、食べ残しなどはスポイトで取り除くようにしましょう。
飼育をはじめたオトシンクルスは、責任を持って最後まで飼育してください。特に、放流することは絶対に避けましょう。
コケ取り生体として知られるオトシンクルスは、飼育にかかるコストが低い魚としても注目されています。お金をかけず、自然な方法でアクアリウムを清潔に維持したい人は、ぜひオトシンクルスの飼育を検討してみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:糸野旬)