皆さんは琉金という金魚をご存知ですか?
丸いボディラインと鮮やかな色合いの琉金は、金魚愛好家の間で広く愛されてきました。
琉金は見た目の美しさだけでなく、飼育のしやすさからも、金魚飼育の入門種としてもおすすめの金魚なんです。この記事では、そんな琉金の魅力に迫ります。
優雅に泳ぐ姿が美しい琉金
琉金は美しい泳ぎと優雅な外観で金魚愛好家を魅了してきました。
琉金の体は丸みを帯びており、長くしなやかな尾びれが扇のように広がり、水中でひらひらと舞うように泳ぎます。
起源は江戸時代まで遡ります。琉金の「琉」の字はこの金魚が琉球経由で伝わったことに由来しており、かつては「琉球金魚」とも呼ばれていたそうです。
品種改良が進み、現在では赤と白が混ざった更紗琉金や、赤、白、黒のキャリコ琉金など、多様な種類が誕生しました。
琉金を飼育するときのポイント
丸い身体をもつ琉金は、身体が細長い和金などに比べて泳ぐのが早くありません。和金や主文金、コメットなど、泳ぐのが上手で速い金魚との混泳は避けて飼育するのが無難です。
泳ぐのが速い金魚と一緒に飼うと、琉金が餌を食べる前にすべて食べられてしまうことがあります。また琉金の種類によっては、流れが早すぎると流されてしまうこともあるようです。なるべく琉金の特徴に合わせた水槽で、琉金だけで飼育することをおすすめします。
琉金が過ごす水槽は、45センチ以上のものを用意してあげましょう。琉金は15センチ程度と大きめに育つ金魚なので、十分なスペースを作ってあげる必要があります。
2匹までなら45センチ水槽、3匹程度なら60センチ水槽が目安です。 適した水槽の大きさは飼育する琉金の大きさによって変わるため、臨機応変に調節してあげましょう。
琉金など泳ぎがゆっくりな金魚を飼うときは、少し水深を浅めにするのもよいでしょう。泳ぐ力が弱い金魚たちは、餌を食べる際など上下に大きく移動することで多くのエネルギーを使ってしまいます。
そのため、水深を少し浅めにすることで無駄なエネルギー消費を減らし、十分に餌を食べさせることができます。琉金が大きく丸く育ちやすくなりますよ。
和金タイプの金魚よりも低水温に弱く、琉金が快適に過ごせる水温は18~28℃が理想とされています。夏は冷房や水槽用クーラーを使って水温が上がりすぎないよう注意し、冬は水槽用ヒーターなどで調節しましょう。
琉金は転覆病に注意
琉金は舞うような長い尾びれが特徴の金魚です。このひれにひっかかるような硬い人工水草や流木、置物などをレイアウトするのは避けましょう。傷がつくとそこから菌が入り、尾ぐされ病などの病気になってしまうことがあります。
また、体表に白い点が現れる白点病や、浮き袋の不良や消化不良などが原因で水面でひっくり返ってしまう転覆病など、さまざまな病気にかかることがあります。
特に琉金は、和金タイプの金魚より転覆病になりやすいです。20℃以下の水温では消化機能に影響が出るため、なるべく水温は高めに設定して、食べきれる量の餌を与えましょう。
可愛い琉金を観察している間に、身体に白や赤の斑点がないか、ひれは切れていないか、えらは膨らんでいないか……等々、金魚の身体に異常がないかをチェックする癖をつけましょう。
琉金はとても可愛く、丸い体をもつ金魚のなかでは丈夫で飼いやすい種類です。ぜひ一緒に暮らしてみてはいかがでしょうか?
(サカナトライター:Ai)
参考文献
勝田正志・大森光子(2004)、金魚の飼い方育て方、成美堂出版
長尾桂介(2021)、楽しい金魚の飼い方 プロが教える33のコツ新版-長く元気に育てる-、メイツ出版
杉野裕志(2018)、きんぎょ飼育図鑑、エムピージェー