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水族館は“ストーリー”を楽しむ

━━みのりさんは水族館に勤務した経験があるとのことですが、水族館で観察する際にあまり注目されていないけど面白い視点などはありますか?

展示のテーマや水槽の配置順(順路)におけるストーリーに注目して見ています。

例えば、名古屋港水族館の南館は「南極への旅」というテーマで、日本から太平洋を渡って南極へ行くまでのルートで見られる生き物や環境を展示しています。一方、海遊館では「環太平洋」がテーマで、太平洋をぐるっと1周するような展示が展開されます。

ただ珍しい生き物がいるというだけではなく、そうした順路に込められているストーリーを追っていくと、まるで広大な海を旅したような気分になれてワクワクします。

━━“推し”の水族館はありますか? 理由も含めて教えてください。

単純に好きな水族館は名古屋港水族館です。施設がとても広くて見ごたえがあり、とても楽しい水族館だと思います。幼いころ、入館してすぐのシャチ水槽に心を掴まれた記憶があり、それから名古屋港水族館の虜なんです。先ほどの質問に答えた通り、南館の「南極への旅」は展示展開も素晴らしく、何度行っても発見があります。

飼育や展示など色んな観点を加味して推している、尊敬している水族館は竹島水族館です。館長さんやスタッフさん自ら「ショボ水」と自称するほど古い建物と設備の水族館ですが、手書きのパネルの面白さや読みやすさはもちろん、飼育されているサカナの状態も良く、水槽もきれいでライトの当て方やレイアウトなども非常に凝られています。

「小さいし予算もないし、凝った展示なんてウチでは作れない」と諦めていた私の考えを、ガラッと変えてしまったのが竹島水族館です。

━━水族館だけでなく、フィールドワークにもよく行かれていますが、一番感動した出来事はありますか?

たくさんありますが、はじめてダイビングをした時の感動は今でも忘れません。文字では表しにくいのですが、海中で見るサカナたちは水族館やアクアリウムで見るサカナと動きも表情も全く違うのです。テレビや映画のドキュメンタリーで見る光景とも違います。

あの浮遊感・別世界感は、自分でダイビングをしないと味わえないと思います。水族館や図鑑を見ただけで「サカナを知った気になっていた自分」が覆されました。

海中の景色(撮影:みのり)

━━では最後に、これからフィールドワークに行きたいと思っている人に向けて、その良さを教えてもらえますか。

これからフィールドワークに行きたいと思っている方には、私がダイビングで感じたような、普段の生活では気付かないことに気付けることがフィールドワークの醍醐味だと伝えたいですね。

いきなり遠くの海へ出向いたり、山奥へ行ったりしなくても大丈夫です。家から歩いて行ける公園でも、電線に停まっているスズメの観察でも、街路樹の葉っぱの観察でもいいです。

例えば、公園に生えている植物の種類はすべてわかりますか? スズメの模様を何も見ずに紙に書けますか? 街路樹の葉っぱの縁はギザギザですか? ツルツルですか?

このように、歩いていける距離の自然でも、十分に知らない自然の一面を知ることはできますし、そこから世界を広げることが大切だと思います。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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