クロホシイシモチという魚をご存知ですか?
ネンブツダイという魚と勘違いされることの多い魚です。温帯域で広く見られる海水魚ですが、観賞魚のように美しい姿をしています。
自ら釣り上げたクロホシイシモチを飼育してみました。
赤くて小さい観賞魚のようなサカナ
クロホシイシモチはスズキ目テンジクダイ科に属する魚です。
本種の全長は10センチほどなので「小さい鯛」に見えなくもありませんが、鯛とは違い、クロホシイシモチは鱗が取れやすいです。
釣り上げたら手で触れる時間を極力減らして、バケツに入れましょう。
まずは「水合わせ」をしよう
最初にすべきことは、魚を飼育環境に慣れさせるために大切な「水合わせ」です。
特にクロホシイシモチは水温や水質に弱いため、この作業は必須。水温は20~23度が好ましいと言われています。
「水合わせ」の方法
まず海水と人工海水の水温を30分ほどかけて合わせます。
次に人工海水を海水と混ぜます。なお、人工海水は水と塩をまぜたものではないので注意が必要です。
この「水合わせ」をすることで魚が環境に慣れ、3日ほどして餌を食べ始めます。
餌は釣り用のチューブタイプのものを与えました。
食べても美味しい
最初の4日ほどは9匹すべてが元気でしたが、その後は日が経つにつれ、1日1匹ずつ亡くなっていきました。
亡くなった子たちはすぐに引き上げ、から揚げにして美味しく「命」をいただきました。
クロホシイシモチは食べても美味しいんです。フンワリとしていて骨ごと食べられます。
朝になると赤色から白色に変わっている!
飼育開始から9日目になると、残りは4匹に。そこであることに気付きました。
朝起きると、クロホシイシモチの色が変化して、斑点も消えているのです。体色が飼育当初より白くなっているうえ、尻尾近くにあった黒い斑点は無くなっています。
ところが3分後には、体は少しづつピンク色に、そして斑点も戻ってきました。
魚が変色する理由には様々な説があります。断定はできませんがが、自分や周囲を守るためというのが有力説です。
釣った魚を飼育することで、わずかな間でも観察することができました。その分、食べるのは辛かったのですが、命のありがたみを学べたことが何よりの収穫でした。
(サカナトライター:栗秋美穂)