山形県鶴岡市では近年、「ワニエソ」の漁獲が増加しています。一方で、同地域では食用としてあまり活用がされてきませんでした。
そこで県の水産研究は同種の活用方法を検討する研修会を開催。漁業関係者、市内の飲食店や温泉旅館の調理担当者などが出席したといいます。
地域によっては練り物の原料として重宝される<ワニエソ>
ワニエソはエソ科マエソ属に分類される底生性の魚。浅海からやや深場に生息し釣りや底引き網で漁獲され、地域によっては練り物の原料として重宝されます。
味が良いことに加え、エソ科の中では非常に大きくなることから食用に向いており、練り物以外にも刺身や煮つけ、焼き物で食べると非常に美味。一方、本種を含むエソ科の食味は過小評価されており、その理由のひとつとして小骨の多さが挙げられます。
ワニエソの出汁は甘味が強い?
西日本では練り物の原料として需要の高いエソ科ですが、他の地域では骨の多さから敬遠されることも少なくありません。
今回、山形県水産研究所が開いた研修会には地元の関係者らが出席。近年、庄内地方で漁獲が増えているワニエソの「焼き干し」で作った出汁の試飲が行われました。
同研究所の解析の結果によると、ワニエソの出汁はイワシの煮干しよりも苦味が少なく、甘味が強いことが分かっています。
今後、「ワニエソ出汁」を使ったラーメンの試食会が鶴岡市内で開催される予定です。
山形県で暖海性の魚が増加中?
山形県では近年、水温が上昇傾向にあり、ワニエソのほかにも暖海性の魚類の報告が相次いでいるようです。
2015年までの山形県海産魚類目録では342種が登録されていたものの、その後、研究により試験操業や市場調査、2006年以降に鶴岡市立加茂水族館で展示された海産魚類計94種が未登録と判明しています。
そのうちの3分の1以上にあたる35種が新潟県以南を分布域とする海産魚類であり、ワニエソのほかにハクセイハギやキハッソクなどが含まれています。
中には水産上有用な魚も
出現する魚が変化している山形県ですが、これらの魚の中には水産上有用な魚も少なくありません。
今後、ワニエソを含む暖海性魚類の有効活用について検討する必要があるでしょう。
(サカナト編集部)