ホテイウオという変わった形をした魚が日本に生息しているのをご存じでしょうか?
この魚は見た目こそ変わっているものの、とある地域では郷土料理として親しまれています。
今回はホテイウオについて紹介します。
ホテイウオとは
ホテイウオはスズキ目ダンゴウオ科に属する海水魚で、初見では魚に見えない程、独特な体型をしています。腹びれは吸盤状に発達しており、これを使い岩場などにくっ付くことができます。
また、体表にうろこや目立った突起物がないため、非常に滑らかな手触りであることも、この魚の特徴です。
2024年1月現在、ダンゴウオ科の魚は国内から11種が記録されていますが、ホテイウオは日本産ダンゴウオ科の中では最も大きくなる種として知られています。その大きさはなんと全長40センチ程であり、ほとんどの種が数センチ程にしかならない日本にいるダンゴウオ科の中では規格外のサイズであることが分かります。
さらに、ホテイウオは国内でとれるダンゴウオ科の魚の中で、唯一食用として流通する種でもあり、そういった意味でもダンゴウオ科の中では唯一無二の存在となっています。
なお、ホテイウオの名前の由来は七福神の「布袋様」が由来で、布袋様のようにふくよかな体型からこの名前が付けられたと考えられています。よく似た名前の魚にホテイエソという深海魚がいますが、分類学上、全く別の魚なので注意しましょう。
北海道では「ごっこ」 郷土料理にも
そんな珍魚とも呼べるホテイウオですが、北海道では「ごっこ」と呼び、食用にもなっています。
ホテイウオは相模湾・若狭湾以北から生息の記録がありますが、多獲されるのは北海道をはじめとする北日本です。特に北海道の函館市では「ごっこ」を狙った漁が盛んに行われており、函館市のホテイウオは北海道の冬のプライドフィッシュにも選定されています。
通常は水深100~200メートルの深場に生息するホテイウオですが、北海道では冬の産卵期になると産卵のために浅瀬へやってきます。北海道ではこの時期に刺網でホテイウオを漁獲しており、漁獲量は2月にピークを迎えます。
この時期のメスのホテイウオの卵巣は非常に発達しており、市場ではオスよりもメスの方が高値で取引されます。では、漁業者はどのようにしてホテイウオのオスとメスを区別しているのでしょうか?
ホテイウオのオスとメスの違いとは?
実はホテイウオはオスとメスでは体色や体の大きさなどが若干異なり、オスは黄色っぽくなるのに対して、メスは黒っぽくオスよりも大きくなることが知られています。他にも吸盤状になった腹びれの大きさも異なり、メスよりもオスの方が大きいのです。
ホテイウオの最も有名な調理方法は汁物であり、ぬめりを落としたホテイウオと野菜を一緒に汁物にした「ごっこ汁」は北海道の郷土料理として知られています。味付けは味噌または醤油で、具材も作る人によって様々です。また、オスとメス両方を使った方が美味しくなるそうです。
ホテイウオは筋肉の可食部は少ないものの、皮が分厚くぷるぷるしているため、その食味は時にアンコウに似ているとも評されます。
ランプフィッシュ
海外にはホテイウオよりもさらに大型になるランプフィッシュというダンゴウオ科の魚がいます。日本ではヨコヅナダンゴウオとも呼ばれ、その名に恥じぬ風格を持ちます。
この種はダンゴウオ科の世界最大種でもあり、水族館での生体展示がある他、本種の魚卵を塩漬けにした商品がキャビアの代用品として流通しています。
道南の名物として有名なホテイウオですが、実は関東などにも出荷されており、ときどき魚屋で手に入ることもあります。粘液が多いが故に下処理が必要な魚ではありますが、非常においしい魚なので一度試してみてはいかがでしょうか。
(サカナト編集部)