筆者の故郷、長野県小諸市で、ホンモロコを養殖している会社を見つけました。
小諸市は、<コモロ>と<モロコ>の語呂が似ていることもあり、ホンモロコを名産品にしたいと考えているようです。
モロコはコイ科の中でも非常に美味しく、滋賀県や京都府で昔から食べられている馴染みのある魚。一方、長野県にある小諸市で食べれるのは珍しいのですが、運よくホンモロコを食べる機会がありました。
ホンモロコとは
「モロコ」はコイ科ホンモロコのことを指します。1年で成魚となり、全長10〜13センチに達します。近縁種にタモロコ、モツゴがいます。
もともとは琵琶湖の固有種ですが、放流によって各地に定着しました。湖沼の中層にすみ、繁殖期は3〜7月です。食用、釣り、鑑賞に利用されます。
モロコの水産的な価値
ホンモロコは滋賀県をはじめ、山梨県、埼玉県などで養殖が盛んに行われています。
京都市内などの料亭では高級魚として取り引きされています。また水田を使用して養殖ができることから、転作の一つとして注目されはじめました。
長野県小諸市においても、休耕田など農地を再利用することこそが、この事業の目的の一つと考えられています。
長野県ではまだまだ馴染みがない養殖魚ですが、小諸市とモロコの語呂と、休耕田の再利用の観点から、今後は名産物になっていくかもしれません。
モロコの料理
モロコの味わいは淡白でほのかに甘味があり、丸ごと食べられるほど骨も柔らかいことが特徴。コイ科の魚類の中では味の良さが有名です。
ほぼ1年を通して水揚げされ、さっぱりとした夏モロコ、脂ののった秋モロコなど、季節ごとに違った風味を楽しめます。中でも、産卵を控えた春先の子持ちモロコは、卵の食感と旨味を堪能できることから、琵琶湖の春の名物として人気が高いです。
調理方法としては塩焼きや甘露煮、天ぷら、唐揚げ、南蛮漬けなど料理も幅広く、大人も子どもも楽しめる癖がありません。大きい個体は味が濃い印象です。
焼きもろこ

シンプルな「焼き」で味は癖がなく、骨柔らかい印象。酢味噌、辛子醤油、紅塩をかけて食べました。
塩焼きは魚本来の旨みを引き出すのに非常に良い調理法です。
甘露煮

埼玉県で主流の味で、調理法としては一般的です。
ほんのりと甘く煮つめると淡白なモロコにピッタリ。日本人の舌には良く馴染む風味が広がります。
もろこ寿司

先ほどの甘露煮を寿司でも食べました。
見た目のインパクトがあり、寿司としては新鮮な感覚です。
青海苔天ぷら

淡白で癖がないモロコは海苔とよく合います。衣のサクッとした食感とフワッとしたモロコの柔らかさは青海苔の香ばしさとベストマッチします。
お酒のつまみとしても優れています。
南蛮漬け

筆者のいちばんのおすすめ。しっとりと艶やかな見た目で、酢の程よい酸味と砂糖と醤油のまろやかな甘辛さは絶品です。
モロコの揚げ物は特におすすめできます。
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