液浸標本づくりの注意点
液浸標本づくりの注意点としては、生物種によってうまく固定できずに固定液が濁ったり、タンパク質が散らばって原形を留めなかったりすることが挙げられます。筆者も、魚類だとハダカイワシ、無脊椎動物だとツツボヤの一種とヨウラククラゲの触手はうまく標本にできなかった経験があります。
また、魚類の標本作りの際に魚体の洗浄が不十分だと、表面の汚れや粘液によって濁ってしまうことがあります。このような場合は固定液を入れ替えるか、底に溜まったタンパク質をスポイトで吸い取れば概ね綺麗になります。

標本の活用
作成した標本は自宅で保管するのも良いですが、博物館などの研究機関に寄贈することもできます。
実は博物館に保管されている身近な生物の標本は、一般人から寄贈されたものが最も多く占めており、そこから得られる情報もとても重宝されています。地元に博物館があれば打診するのも手ですが、受け入れ先が見つからなかった場合は自然史系標本セーフティーネットという組織に頼ることもできます。
自然史系標本セーフティネットは、そのような標本の消失を防ぐために設立された組織。博物館同士で寄贈標本に関する情報を共有し、標本受け入れ先を効率よく探し出すことで、自然史をひも解く上で重要な資料となる標本を、少しでも多く救うことを目的としています。
標本には、研究結果や対象生物の分布・調査結果の証拠として重要な役割があります。そして時代による分布や環境の変化を知ることもできます。
なお、アルコールはタンパク質を固定するだけでなくDNAも保存できます。見たことがない種類の生き物や得体の知れないものでも、それによって生物種を同定出来るかもしれません。
標本はただ保存できるだけでなく、自然史的にも貴重な資料にもなり得ます。そこから新種が見つかったりと大きな発見に繋がることもあるので、標本を作ってみることをおすすめします。
(サカナトライター:俊甫犬)
参考資料
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