梅雨も明け、いよいよ夏本番といったこの時期。連日の猛暑の影響でどこかに出掛けようとしても、外へ出る気になれない人も多いかもしれません。先日、筆者も釣りへ出掛けようとしましたが、この暑さで行く気になれませんでした。この時期は暑さが和らぐ夜に釣りをすることが多いです。
そんな夜釣りでよく狙うターゲットはナマズ。可愛らしい4本のヒゲはどことなく猫を連想させ、英名ではキャットフィッシュと呼ばれています。しかしその可愛らしい姿も、今では減少傾向にあるようです。
ナマズはヒゲが特徴
ナマズは頭と口が大きく、上アゴと下アゴにあるヒゲが特徴的な魚。仔魚は下アゴにもう二本のヒゲがありますが、成長していくと自然消滅します。
河川の中・下流域や沼、水路などに生息し、緩やかな場所を好む傾向があります。
今では日本全国に分布しますが、自然分布は滋賀県より西の本州、四国、九州だと考えられています。遺跡から発掘されるナマズの骨が、愛知県以東では江戸時代以降に限られる(松沢陽士・瀬能宏(2008)、日本の外来魚ガイド、文一総合出版)ためです。

体色は茶褐色ものから黒の色のものもおり、生息環境によって異なるようです。
夜行性で食性は貪欲。ザリガニやカエル、小魚などの動植物性のものを好んで食べます。その身は淡白で美味とされており、あのウナギの蒲焼きよりも美味しいと言われることも。
しかし、昨今の河川工事や環境破壊の影響で、その数は年々減ってきているようです。かつては近所の川でもたくさん見られたと言われていますが、現代ではその姿を見る場所は限られてきています。
実際に、かつてはよく釣れたとされた釣り場に出向いた際に地元の方に話を聞いたところ、今ではほとんどナマズの姿は確認できていないと耳にしました。
実はデリケートな魚 環境適応力はコイほど高くない
ナマズはコイと同じ水深・水質にいることが多く、ナマズ釣りではコイを探すことから始まると言われています。
しかしナマズは環境適応力がコイほど高くないため、コイがいても見つからないのはよくあること。比較的綺麗な水質を好み、酸欠や水質悪化に陥ると他の魚に比べ早く弱ってしまうのです。

近年ではコンクリートの用水路などが多く見受けられますが、ナマズは砂地や土の層がある場所、ヨモやアシが生い茂る場所を好みます。しかし、そうしたナマズが好む場所は段々と消えつつあります。
こうした事態はデリケート気質のナマズにとっては死活問題。彼らは今後どうなっていってしまうのでしょうか。
ナマズは今後どうなるか
ここ近年でその数を減らしつつあるナマズ。このまま自然環境が破壊されれば、絶滅の危機も考えられるほど深刻な事態です。
もしかすると、外来種のアメリカナマズにその数を越されてしまう日が来てしまうかもしれません。
筆者はこれからもナマズ達と戯れていたいです。彼らがいつまでも元気に泳げる環境を守るために、我々にできることは一体何なのでしょうか?
こうした問題は大きなものから取り組むのではなく、道端に落ちているゴミを拾うことから始めるのがいちばんなのかもしれません。
(サカナトライター:東ガイ)
参考文献
松沢陽士・瀬能宏(2008)、日本の外来魚ガイド、文一総合出版