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春に因んだ名前を持つ魚たち 和名に「サクラ」が付くワケとは?

気温が上がり、桜の開花宣言が出されるといよいよ春の訪れを感じますね。

魚にも春を感じさせてくれるものたちがいるのをご存じでしょうか。今回は標準和名に「サクラ」が付く魚たちをご紹介します。

桜といえば「サクラダイ」

雄のサクラダイ(提供:PhotoAC)

サクラダイはやや深場の岩礁域に群れで生息する魚で、雄と雌で色彩が異なることが特徴です。雄の体側には桜を彷彿させる淡色の斑紋があり、この斑紋が和名の由来とされています。また、学名がSacura margaritaceaであり属名も桜に由来していることも有名です。

本種は和名にタイと付くもののタイ科ではなくハタ科(ハナダイ科とする場合もある)に分類されます。ハタ科には本種の他にサクラと付く魚や赤い色彩の魚が数種類含まれており、それらをまとめてハナダイ類とも呼びます。

サクラダイは沖合の釣りではごく普通に見られる魚なので、どこにでもいる魚と思われがちですが、現在、台湾と南日本にしか記録がない魚でもあるのです。

また、食用としての需要は高くないものの観賞魚として需要があり、水族館で見られる他、ペットショップで高値で取引されることもしばしばあります。

サクラマス

婚姻色の出たサクラマス(提供:PhotoAC)

サクラマスOncorhynchus masou masouの降海型であり、陸封型をヤマメと呼びます。通常、標準和名は1種つき1つですが、このようにサケ科の魚では一部の種、亜種に2つの標準和名が与えられています。

サクラマスは北海道をはじめ、神奈川県・山口県以北、九州の一部から記録がある魚です。サクラマスの由来は諸説あり、「雄の婚姻色が美しい桜色であるから」、「春の桜が咲く時期に遡上するから」という2つの説が有力とされています。

美しい姿から釣り人を魅了し続ける魚であり、釣りのターゲットとしてはもちろんのこと、本種は水産上で本マスと呼ばれ、水産上重要な魚でもあります。また、板マスと呼ばれる体高の高い個体は非常に高い値段で取引されるそうですよ。

最近、命名されたサクラが付く「魚」たち

最近、命名された魚たちにもサクラと付く魚たちがいます。

サクラダンゴウオは長らくダンゴウオと同種とされていた魚で、2017年に新種記載されました。従来のダンゴウオとは眼の間の感覚孔の有無で見分けることができる他、ダンゴウオが太平洋側に分布するのに対してサクラダンゴウオは日本海と朝鮮半島に分布するそうです。

アジ科ムロアジ属に属する種には尾びれの赤い種が数種類おり、しばしば新種や日本初記録種が報告されています。とある種Decapterus smithvaniziは2013年に新種記載されたアジ科ですが、記載された当時、日本からの記録がありませんでした。

しかし、数年後、日本からDecapterus smithvaniziが発見されることになります。

2015年、鹿児島県枕崎市沖からDecapterus smithvaniziと同定される標本が採集され、日本初記録種及び北限記録として報告されると共に、尾びれが桜の花弁を連想させることからサクラアジと命名されたのです(東シナ海と鹿児島県枕崎市沖から得られた日本初記録のアジ科魚類Decapterus smithvaniziサクラアジ(新称))。

このように日本の魚には和名にサクラと付く魚が多くいるのは、春の風物詩として桜の木が全国的にある日本ならではかもしれませんね。魚で春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

(サカナト編集部)

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