小学生の夏、金魚すくいで連れて帰った4匹の金魚と過ごした日々は、えさやりや水槽の掃除を通して、いつの間にか大切な思い出へと変わっていきました。中でも、他の金魚たちよりも大きく育った1匹の金魚の姿は、大人になった今でも鮮明に覚えています。
小学生だった私が、夏祭りで連れ帰った小さな金魚から教えてもらった気づき、そして成長の驚きを語ります。
夏祭りの帰り道に始まった金魚との生活
小学生の頃、夏祭りの夜店で金魚すくいに挑戦しました。
紙が破れないようにすくい上げたのは、3匹の素早い和金と、1匹のくりっとした目が愛らしい出目金。ビニール袋の中で静かに泳いでいる小さな金魚たちを見ていると、「うちの子」になったような気がして、私はとてもわくわくしていました。
袋に入った金魚(提供:PhotoAC)連れて帰った4匹の金魚たちは、大きな水槽に移すと元気よく泳ぎはじめました。金魚たちの様子を見るだけで嬉しくなったのを、今でも覚えています。
夏祭りの余韻が残る中、私と金魚との生活が始まりました。
毎日の世話が教えてくれたこと
飼い始めてからは、毎朝のえさやりが私の新しい習慣になり、学校に行く前のちょっとした楽しみだったのです。
また、数週間にいちどの水槽掃除は、正直面倒だと思うときもありました。しかし、水槽と水がきれいになったとたんに金魚たちが気持ちよさそうに泳ぎ出す様子を見ると、「やってよかったな」と素直に感じました。
毎日の積み重ねの中で、生き物を飼う責任や手をかけることで返ってくる嬉しさを、自然と学んでいたように思います。
ぐんぐん成長した和金に驚いた日
一番印象に残っているのは、1匹の和金がとにかくよく育ったことです。ある日、ふとした瞬間に「あれ、前より大きくなってる?」と金魚の変化に気がつきました。
毎日見ていると、金魚の変化に気づかなかったため、私も家族も思わず驚きました。水槽に入れた当初は、手のひらに乗るほどの小さなサイズでしたが、いつの間にか約10~15センチほどの立派な姿に成長していたのです。
大きな水槽の中を悠々と泳ぐ和金は存在感もたっぷりで、かつての小さな姿が嘘のようでした。
成長した金魚(提供:PhotoAC)当時は金魚について種類や生態を詳しく知らなかったのですが、あとから調べた結果、飼っている金魚の種類が和金であることを知りました。
また、和金は大型に成長する金魚で、飼育環境によって20cm以上にもなることも分かったのです。「こんなにも大きく育つのか」といった純粋な驚きと、しっかりと成長してくれたことへの深い喜びと感動がありました。
あの金魚の成長ぶりは、毎日の世話や日々の積み重ねが後にどれほど大きな変化をもたらすのか、そして小さな命が隠す成長への力を、子ども心に教えてくれました。
あの一匹の和金と過ごした時間が、今では大切な思い出です。
(サカナトライター:ムク家)