ミズクラゲの成長をどう制御するのか?
自然界ではミズクラゲの生活環は自然の成り行きのままで進みます。
しかし、水族館では常に成体の展示が必要となるため、成長段階をコントロールしなければなりません。
ミズクラゲのポリプ(提供:PhotoAC)そこで、成長に関わる重要な因子が研究され、海水温が重要であることが判明しています。
ポリプの段階で水温を25℃程度に保つことで、ストロビラへの分化を抑制できるそうです。
水温を15℃以下に下げる低温刺激によりストロビラに分化させることが可能となり、エフィラが分離していきます。
ミズクラゲのエフィラ(提供:PhotoAC)こうして水温を調節することで、ミズクラゲの成長段階を維持するという原理を発見した人はすごいですよね。水族館の救世主と言えるでしょう。
なお、クラゲの種類によって温度調整は異なるそうです。
水族館の人気者ミズクラゲを見に行こう!
なぜ水族館でいつでも観察できるのか──。
水族館飼育員さんの努力によって、かわいいミズクラゲをいつでも観賞できるのです。
飼育中のミズクラゲ幼生(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)水族館によっては、この成長プロセスが展示されていることがありますので、ぜひ探してみてくださいね。
ミズクラゲの展示は、研究者や飼育スタッフの努力あってこそなのです。水族館では癒されるだけでなく、そうした展示の裏側にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:額田善之)
参考資料
太田尚志・2018年度日本付着生物学会シンポジウム「ミズクラゲのストロビレーションに及ぼす温度の影響」
三宅裕志(2014)、クラゲの不思議: 全身が脳になる? 謎の浮遊生命体、誠文堂新光社
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