日本固有種のサカナ、ユウゼンを知っていますか?
一見地味な黒色をしたチョウチョウウオの仲間ですが、その美しさに気づくときっと誰でも虜になってしまうでしょう。
この記事では、魅力たっぷりのユウゼンについてご紹介します。
ユウゼンとは?
ユウゼンはチョウチョウウオ科に属する魚です。一般的なチョウチョウウオは色鮮やかな模様を持つことが多いですが、ユウゼンは全体的に黒色をしているため、一見地味な印象を受けるかもしれません。
しかし、しっかりと眺めてみると、ただの黒ではなく、白い縁取りの美しい鱗模様があります。そして、その繊細な模様が入った黒い体の尾鰭には、一本の鮮やかな黄色のラインがあります。
この独特で繊細な色彩には他にはない渋さがあり、日本の伝統的な着物や和柄を連想させる風情があります。ユウゼンという名前は、着物に用いる日本の伝統的な染め物「友禅」に由来しています。
ユウゼンの生態
ユウゼンは主に日本の南西部、伊豆諸島、小笠原諸島、そして沖縄周辺の温暖な海域に生息しています。岩礁やサンゴ礁の周辺を好んで生活し、水深10~50メートルの範囲で見られることが多いです。
ユウゼンは雑食性で、主に藻類、海底の小動物、サンゴのポリプなどを食べます。そして、なんと他の魚の卵を食べることもあります。
美しさの大渋滞 ユウゼン玉とは?
ユウゼンは2匹のペアで泳いでいることが多いのですが、ときには20匹以上の群れになります。その姿は、まるで一つの大きな玉のように泳ぐことから「ユウゼン玉」と呼ばれています。
ユウゼン玉を目当てに潜るダイバーもいるほど、美しく迫力があります。
ユウゼンたちが群れる理由はまだはっきりと分かっていません。一説によると、魚の卵を狙うときに集団の方が都合がいいからだと言われています。
ユウゼンがよく食べているススメダイの産卵期は、他の魚の産卵期よりも少し早く訪れます。この時期とユウゼン玉がよく見られる季節は重なっているため、この説はあながち間違いではないのではないでしょうか。
群れるのは産卵のため?
また、もう一説によると、ユウゼン自身の産卵のためではないかとも言われています。チョウチョウウオの仲間は集団で産卵とすると推測されているのです。
しかし、その様子はまだ実際に確認されてはいないため、あくまで推測に留まっているようです。いずれにしてもユウゼン玉は決まった時期に見られることが多く、生き抜くための戦略であることは間違いなさそうです。
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