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絶滅寸前の<五島列島・福江島産アブラボテ> 生息数が激減した背景を考えてみた

先日、久しぶりに近所の川沿いを散歩していると、橋の下を流れる川にふと違和感を覚えました。

よく見ると、水位が以前よりも明らかに下がっているのです。

この小さな違和感は、自然と人との関わり方、そして私の地元である五島列島で起きている「ある生き物の減少」を思い出すきっかけとなりました。

にぎやかな川が一変!そのワケとは?

かつては腰のあたりまで水があり、大きな鯉やフナが群れをなして泳ぐ、にぎやかな川でした。

フナの群れ イメージ(提供:PhotoAC)

しかし今では、くるぶしほどの浅い川へと姿を変え、魚の姿は一匹も見当たりません。

その代わりに、川の周辺を飛んでいたであろうサギの死骸が、水面にぷかぷかと浮かんでいました。

ここまで水位が下がってしまった要因の一つとして、この川につながる河川の大規模な改修工事が関わっているという意見もあるようです。

実は、私の地元である五島列島・福江島では、過去にも数を大きく減らしてしまった生き物がいます。

その生き物が、「アブラボテ」です。

絶滅寸前の「五島列島産アブラボテ」

アブラボテは、コイ科アブラボテ属に分類されるタナゴの仲間で、五島列島では福江島にのみ生息する、希少な淡水魚です。

最大の特徴は、マツカサガイなどの二枚貝の体内に卵を産みつけるという、特殊な繁殖方法にあります。

アブラボテ(提供:PhotoAC)

2000年初頭の福江島では、島内の多くの川で比較的簡単に観察できていたようですが、現在では生息地が限られ、2020年には長崎県の絶滅危惧種IB類に指定されるほど数を減らしてしまいました。

これについて、たとえば2013年に行われた「長崎県生物多様性保全戦略策定に係る意見交換会」では、市民から「アブラボテ、ドジョウ等、自分が幼少の頃にいた生物がいなくなった。アブラボテの減少は河川改修工事による」のではないか、との意見もあったようです。

河川改修工事の影響を考えてみた

なぜここまでアブラボテが減少してしまったのでしょうか。

河川改修工事 イメージ(提供:PhotoAC)

大きな要因の一つに、産卵に欠かせないマツカサガイの減少が挙げられます。

工事によって川底の環境が変わり、マツカサガイが土砂に埋もれて死滅。その結果、卵を産みつける場所を失ったアブラボテは繁殖できなくなり、急激に数を減らしていったと考えられます。

アブラボテの数を増やすために

五島列島・福江島では、アブラボテを守るための取り組みとして、繁殖技術に長けた島外の水環境館へ個体を輸送する施策が行われました。

五島列島・福江島 城岳展望台からの眺め(提供:PhotoAC)

2011年、福江島産のアブラボテ15匹が繁殖のために島外へ渡り、その8年後の2019年には、繁殖に成功した64匹が再び福江島へ里帰りしています。

全国に広がるアブラボテ保護の取り組み

全国でも、アブラボテの絶滅を危惧し、保護活動に取り組む地域があります。

和歌山県では、水路のコンクリート化によって数を減らしたアブラボテを守るため、「アブラボテを守る会」を結成。観察会や勉強会を定期的に開催し、住民の環境意識を高める活動を続けています。

私の地元である五島列島・福江島は、近年は観光地として注目を集めており、それに伴い街を整備するための工事が毎日のように行われています。

しかしその裏側で、多くの生き物たちが棲みかを失っている可能性を忘れてはいけません。

私の大好きな五島列島・福江島の自然を守るために、見て見ぬふりをせず、自分にできることを考え続けていきたいと思います。

身近な自然を眺めていて「以前と何か違うな」と感じたことはありませんか? そうした変化の背景には、その環境で暮らしにくくなった生きものや、すでに姿を消してしまった生きものがいるのかもしれません。

身近な自然に目を向け、その変化について考える時間を、少しだけ持ってみてはいかがでしょうか。

(サカナトライター:ティガ)

参考文献

県民との意見交換会の概要ー長崎県

五島にも絶滅危惧魚 アブラボテ 調査の上田さんが小学生に講話 「生き物に興味持って」-長崎新聞

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ティガ

ティガ

「五島のいきものたちの暮らし、そっと覗いてみませんか?」

こんにちは! 生まれも育ちも長崎県五島列島(離島)のティガと申します! 小さい頃から五島の大自然の中、様々な生き物に触れてきました。 五島は生き物の宝庫……! 五島に生息している面白くて魅力的な生き物達を中心にご紹介していきます。

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