日本一大きな湖として知られる琵琶湖は約400万年前に誕生したと考えられており、カスピ海やバイカル湖と同様に古代湖としても知られています。
また琵琶湖には約1700種もの動植物が生息するとされ(滋賀県-琵琶湖はどんな湖か?)、中には固有種または亜種も少なくありません。
今回は琵琶湖に生息するビワマスについてご紹介します。
琵琶湖の固有亜種・ビワマス
ビワマスはサケ科に属する魚で体長は40センチほどまで成長。琵琶湖の固有亜種であり、琵琶湖北湖の深場に生息しています。ただし、移植により栃木県中禅寺湖、神奈川県芦ノ湖、長野県木崎湖でも生息しているようです。
ビワマスは同じサケ属の1亜種であるアマゴに形態がよく似ていますが、ビワマスは全長20センチ以上で朱点が消えてしまうことや、アマゴが西南日本の河川に分布するのに対して、ビワマスは琵琶湖固有亜種であることから区別することができます。また他の亜種と比較して眼が大きいことや幽門垂の数が多いことも特徴です。
産卵期である10~11月になると産卵のため産まれた河川へ遡上、親は産卵後に死んでしまいます。河川で生まれた稚魚は梅雨の時期の5~6月頃に琵琶湖へ下り夏には湖の20メートルほどに生息するようです。中には河川に残留する個体もいるようですが、ほとんどが琵琶湖へ下るそうです。
このようにサケが河川から海に下るようにビワマスは河川から琵琶湖へ下り、また産卵のために河川へ遡上します。淡水域でサケと同じような生活をしている魚がいるのは、広大な広さを持つ琵琶湖ならではかもしれません。
ビワマスは水産上重要な資源
琵琶湖を代表する魚の一つのビワマスは準絶滅危惧種に指定されている一方で琵琶湖における重要な水産資源でもあります。
琵琶湖ではビワマスを狙った小糸(刺網)が行われており、旬は夏。冷たい場所を好むビワマスは主に北湖で漁獲があるようです。またビワマスは滋賀県のプライドフィッシュにも選定されています。淡水魚のプライドフィッシュは全国的にも希少です。
産卵期である10~11月はビワマスの禁漁期。資源保護やビワマスがいつでも楽しめるようにと養殖事業も盛んにおこなわれています。また、ビワマスは釣りのターゲットとしても人気が高く、全国の釣り人が憧れる魚でもあるのです。
あめのいおとは?
「琵琶湖の宝石」とも評されるビワマスですが、琵琶湖周辺にはこの魚を使った料理がいくつか存在します。
ビワマスの押し寿司や刺身、「あめのいおご飯」はビワマス料理の定番で、「あめのいおご飯」は滋賀県の滋賀県の無形民俗文化財にも選定。この料理はビワマス、人参、シイタケなどで作った炊き込みご飯で県内全域に伝承されています。
ちなみに「あめのいお」とはビワマスの別名で「雨の魚」という意味だそうです。
このように琵琶湖周辺では琵琶湖の資源を使った料理が多く存在します。ビワマスは準絶滅危惧種とのことなのでこの先もビワマス料理が残っていくことを願うばかりですね。
(サカナト編集部)