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<カネヒラ>がタナゴ界の強者である理由 ズレた産卵タイミングがもたらす「国内外来種問題」

美しい婚姻色、デリケートな産卵方法など在来種の繊細な生き様を表現しているタナゴ類。

現在タナゴ類は深刻な状況に置かれており、多くの種が絶滅危惧種に選定されています。一方、タナゴ類の多くが絶滅の危機に瀕する中、分布を広げている種も知られています。

それがカネヒラです。なぜカネヒラは分布を広げているのでしょうか。

タナゴ類のほとんどが絶滅危惧種 異彩を放つ<カネヒラ>

日本産タナゴ類は、現在深刻な状況に置かれています。

河川改修や水質悪化、そして外来種の侵入。かつて各地の用水路や河川に普通に見られた種が、今では姿を消しつつあります。環境省のレッドリストには、ほとんどの在来タナゴ類が掲載されているほどです。

カネヒラ(提供:PhotoAC)

そんな中、異彩を放つ存在がいます。それがカネヒラです。

在来のタナゴ類でありながら、各地で個体数を維持し分布域を拡大。2019年時点での環境省レッドリストでは未掲載となっています。

その理由は、カネヒラ特有の“タフさ”にあります。

カネヒラの繁殖タイミングは他のタナゴとズレる?

カネヒラは、タナゴ類のなかでも比較的大型になる種で、体高も他のタナゴ類に比べると高い方です。

成魚は10cmを超えることもあり、婚姻色が出たオスは青みがかった銀色の体に赤いヒレが映え、息をのむほどの美しさを見せます。

カネヒラ(提供:PhotoAC)

タナゴ類の繁殖には、二枚貝が欠かせません。貝の中に卵を産み付け、稚魚になるまで守ってもらう、この繁殖スタイルはタナゴ共通ですが、カネヒラには大きな特徴があります。

それは多くのタナゴが春に産卵するのに対し、カネヒラは秋に産卵することです。

国内の在来タナゴ類で、秋産卵を行う種は限りなく少なく、この「ズレた繁殖タイミング」が、他種との貝をめぐる競合を回避することに一役買っていると考えられています。

カネヒラは国内外来種としての側面を持つ

カネヒラは美しいタナゴ類でありながら、タフさゆえ別の側面も持っています。

本種の自然分布域は琵琶湖・淀川水系などとされていますが、現在は全国各地の河川で確認されているのです。その理由は、本来自然分布域でない水系に水産有用種の種苗に混入する形で放流され、定着・増加したと考えられています。

問題は、カネヒラが在来タナゴ類と貝の産卵床をめぐって競合する点です。

環境適応力が高く、繁殖力も強いカネヒラが入り込むことで、もともとその地域に暮らしていたタナゴ類が追い出されてしまっていることが懸念されています。

「在来種なのに外来種になる」

カネヒラのこの矛盾から、国内外来種問題の難しさを痛感し、その複雑な生態系を意識せざるを得ません。カネヒラはタナゴ類独自の美しさや強さだけでなく、私たちの魚との向き合い方を考えさせてくれる種なのかもしれませんね。

(サカナトライター:そい太)

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