広島大学 IDEC 国際連携機構の Ishara Perera 特任助教らの共同研究グループは、チリ・パタゴニアにおける有害藻類ブルームを予測するための新たなモデルを開発しました。
この研究の成果は「Ecological Informatics」に掲載されています(論文タイトル:A prototype coupled modeling approach for predicting harmfulalgal blooms: A case study in Chile)。
養殖魚の大量死を引き起こす<赤潮>
有害藻類ブルーム(HAB)は、特定の植物プランクトンが大量発生し、水面の色が変わってしまう現象です。
日本では、原因となるプランクトンによって「アオコ」「赤潮」などと呼ばれています。
赤潮(提供:PhotoAC)このうち、海洋で発生する赤潮は養殖魚の大量死や貝毒の蓄積を引き起こすことから、世界中の水産魚で問題となっています。
チリにおける損失額は約8億米ドル
南米に位置するチリは世界第2位のサーモン生産国であるほか、冷凍ムール貝の世界的な輸出国でもあります。
そんなチリですが、過去数十年間にわたり、HABによる甚大な被害を受けてきました。2016年には Pseudochattonellaverruculosa のブルームにより、チリのサーモン生産の18~20パーセントが影響を受け、約8億米ドルの損失が発生したといいます。
そのため、HABがいつどこでどの規模で発生するのか予測することは、漁業・養殖業を守るために非常に重要です。
一方、HABを引き起こす藻類の生態は複雑で、正確な予測は難しいとされてきました。
赤潮を予測するモデルを開発
今回の研究では、HABの発生を予測するため、新たに物理モデル、AIモデル、経験的動的モデル(EDM)の3つのモデルが開発されました。
中でもEDMでは、チリ南部の3地点における Pseudon-itzschia属の発生を予測し、1地点の Pseudo-nitzschia seriata群では、相関係数 0.733と高い予測精度が達成されました。
また、Ceratium属や Leptocylindrus属などの植物プランクトンがPseudon-itzschia属と因果関係を持つことも明らかになっており、これらの種をモニタリングすることで、HABの発生を早期警戒できる可能性が示されたのでです。
持続可能な漁業に貢献
今回の研究によって、チリにおけるHAB発生を予測する新たな3つのモデルが開発されました。特に経験的動的モデルを用いた手法では高い予測精度を達成しています。
この成果は持続可能な漁業の発展に貢献することが期待されています。
(サカナト編集部)