和歌山県南部では春、黒潮に乗って北上するカツオを漁獲する「ケンケン漁」が最盛期を迎えます。
和歌山県の水産試験場によると先月、串本、すさみ、田辺の漁港では合わせて79トンものカツオが漁獲されたとのことです(カツオの“ケンケン漁” ことしも豊漁か 串本・すさみ・田辺-和歌山 NEWS WEB)。
ケンケン漁とは
ケンケン漁は主に和歌山県に伝わる伝統的な曳縄の1種で、潜航板と疑似餌を組み合わせて使っていることが特徴。1隻に2人が乗り込んで漁を行います。
この漁法は全国的にも有名な漁法ですが、ケンケン漁と言えば和歌山県と言える程、和歌山県を代表とする漁法です。和歌山県ではケンケン漁が1月下旬~2月頃に始まり、春に最盛期を迎えます。ちょうど今の時期ですね。
ケンケン漁のカツオが美味しいワケとは
ケンケン漁のもう一つの特徴はカツオの鮮度が良いことが挙げられます。
ケンケン漁ではカツオが1本1本釣り上げられることに加え、漁獲してすぐ活け締め・水氷保存、その日のうちに市場へ水揚げされます。このように漁獲されてから短時間で市場へ運ぶことにより、美味しくて鮮度の良いカツオが提供できるのです。
ケンケン漁で漁獲されるカツオは和歌山県のプライドフィッシュに選定されている他、すさみ市場へ水揚げされるカツオは「すさみケンケン鰹」としてブランド化しています。
ケンケン漁の歴史は古い
和歌山県で盛んなケンケン漁ですが、発祥の地は和歌山とハワイだそうです。
明治の初期に和歌山からハワイへ移住する人が多くいました。移民のうち串本町田並の人々はハワイにケンケン漁を伝えましたが、ハワイではうまくいかなかったそうです。その後、移民は島民と共にケンケン漁を改良、1908年、ハワイから帰国した移民により改良されたケンケン漁が和歌山に伝わったといいます(南紀で行われている漁法-JF和歌山東漁業協同組合)。
ケンケンの語源は諸説あり、疑似餌がピョンピョン跳ねる様子が由来とする説や、ハワイのカナカ語で“羽を使用したルアー”のことをケンケンと呼んでいた説などがあります。
ケンケン漁で漁獲されたカツオは、他のカツオと区別するためにブランド認証のシールが貼られているそうです。和歌山県が誇るケンケン鰹一度食べてみたいものですね。
(サカナト編集部)