公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、野生生物の違法または過剰な利用による絶滅を防ぐことを目的とした共同宣言を発表しました。
2026年6月に開催したシンポジウムを契機に、ペット事業やEC、運輸、観光など幅広い分野の27の企業・団体が宣言に賛同し、それぞれの事業活動を通じて生物多様性の保全に取り組む姿勢を示しています。
過剰な採取・取引を防止へ
近年、国内外では野生生物の密猟や違法な持ち出し、過剰な採取・取引が相次ぎ、生物多様性への深刻な影響が懸念されています。
なかでも、日本の生物多様性ホットスポットとして知られる南西諸島では、固有種や希少種が採集や持ち出しの対象となる事例が報告されており、生態系への影響が課題となっています。
こうした状況を受け、WWFジャパンは6月25日にシンポジウム「野生生物の絶滅を防ぐための約束―南西諸島の現場から考える、生きものの流通・消費・社会の責任―」を開催しました。
南西諸島 宮古島(提供:PhotoAC)シンポジウムでは、生息地から流通、市場に至るまで野生生物に関わる事業者や関係機関が集まり、採集や流通、販売が生物多様性へ与える影響や、それぞれの立場で果たすべき役割について意見を交わし、その成果として「野生生物の違法または過剰な利用による絶滅を防ぐための共同宣言」が取りまとめられ、27の企業・団体が賛同しました。
流通や販売に関わる事業者が生物多様性保全への取り組みを表明
共同宣言では、違法または過剰な捕獲や持ち出し、輸出入、販売が生物多様性への直接的な脅威であることを認識したうえで、各事業者が自社の事業活動と野生生物との関わりを把握・評価し、保全に向けた取り組みを進めることを掲げています。
また、生体を取り扱う事業者には外来生物の野外放出を防止する取り組みの徹底を求めるとともに、消費者や観光客、取引先、従業員などに対して普及啓発を進め、取り組みへの理解と協力を広げていく方針も盛り込まれています。
今回の宣言には、ペット関連事業者やECプラットフォーム、運輸業、観光業など野生生物の流通や消費に関わる多様な業種が参画しており、サプライチェーン全体で課題解決に取り組む姿勢が示されました。
社会全体で持続可能な利用を進める第一歩
共同宣言の採択にあたり、爬虫類や両生類、淡水魚、昆虫、野生動物管理などを専門とする6人の研究者がコメントを寄せました。
密猟・盗掘や大量捕獲・持ち出しの対象となっている南西諸島の絶滅危惧種(提供:WWFジャパン)専門家らは、野生生物の違法・過剰利用が生物多様性の損失を招く主要な要因の一つであるほか、野生生物の流通が外来種問題や感染症の拡大につながる可能性もあると指摘しています。
一方で、野生生物の採集や飼育そのものを否定するのではなく、影響や責任を十分に理解したうえで、持続可能で節度ある利用を社会全体で進めることが重要との見解を示しました。
また、野生生物の保全には生息地だけでなく、流通や販売、消費に関わる幅広い主体の協力が欠かせないとし、観光や運輸、EC、ペット事業など多様な業界が参加した今回の共同宣言は、分野横断的な連携を進める重要な取り組みになるとの期待が寄せられています。
※2026年7月18日時点の情報です
(サカナト編集部)