メガレイはカレイ目ヒラメ科に属する南方系の魚です。同じように日本に分布するガンゾウビラメ属の他種によく似ているのですが、有眼側の体側の斑紋に大きな特徴があり、ほかの多くのガンゾウビラメ属と見分けることができます。
今回はそんなメガレイについてご紹介します。
メガレイって、どんな魚?
メガレイはカレイ目ヒラメ科ガンゾウビラメ属の魚です。主に静岡県以南の南日本大平洋岸、長崎県、瀬戸内海、八重山諸島に分布し、海外では台湾、中国、東インド洋から西太平洋までに生息しています。
メガレイがほかのガンゾウビラメ属魚類と異なる特徴はいくつかありますが、一つには鰓耙(さいは)の形状が挙げられます。鰓蓋を捲ったら出てくるのが鰓弓(さいきゅう)ですが、この鰓弓の前方に小さな白い塊や棒状のものが見られます。これが鰓耙です。
日本産ガンゾウビラメ属のほぼすべての種で鰓耙は櫛状になっていますが、このメガレイだけは掌状で短いという特徴があります。しかし、もう一つ他種と異なる特徴があります。それが有眼側(眼がついている側)の斑紋です。
メガレイの最大の特徴はその有眼側の斑紋です。有眼側の側線の上方および下方に、二つの黒色斑からなる眼状斑が数個あるのが特徴となります。そして二つの有眼側の下に小さな白い歯のような模様があり、まるでドクロのような模様をしています。
この有眼側の斑紋によって、日本産のほかのガンゾウビラメ属魚類とは容易に識別できます。無眼側(眼のついていない側)は一様に灰色っぽく、目立つ模様もありません。
名前に「カレイ」とあるけれど
メガレイは名前に「カレイ」とありますが、カレイ科の魚ではなく、ヒラメ科のガンゾウビラメ科の魚です。俗に「左ヒラメに右カレイ」と言われますが、メガレイもヒラメ科の魚ですから、眼は通常体の左側にあるわけで、ややこしいものです(ただし、まれにヒラメ科の魚であっても眼が右側に出てしまう個体もいる)。
ヒラメ科であっても名前にカレイとついている魚は他にもいます。日本産種ではアラメガレイ属のアラメガレイおよびユメアラメガレイ、ガンゾウビラメ属のテンジクガレイやナンヨウガレイもヒラメ科なのに名前に「カレイ」とついています。
またヒラメ科に近いダルマガレイ科の魚も、ほとんどの種が名前に「カレイ」とついています(セイテンビラメ、イトヒキガンゾウビラメ、タイコウボウダルマ、オオシャクダルマはのぞく)。
メガレイが食べたい!
メガレイは先述のように瀬戸内海や静岡県でも確認はされているようですが、基本的に南方系のカレイです。沖縄県には科の標準和名にもなっている高級魚のヒラメが分布していないため、ガンゾウビラメ属の魚がヒラメの代わりとなっています。
筆者は鹿児島県産の個体を2回、長崎県産の個体を1回、合計3回入手していますが、そのうち1回は筋肉がいわゆる「ジェリーミート」状態になっており食用にすることはできませんでした。しかしほかの2個体は唐揚げにして美味でした。
これらは漁業従事者や市場関係者の方から入手したもので、興味がある方はそのような関係者の方に、SNSやEメールなどで問い合わせてみてもよいでしょう。ぜひともそのユニークな模様の魚を手に取ってみてください。
(サカナトライター・椎名まさと)