スーパーの魚コーナーや総菜売り場でよく見かける「赤魚」と呼ばれる魚。何気なく私たちの食卓に並ぶ赤魚ですが、一口に赤魚といっても色々な種がいることをご存じでしょうか?
今回は日本に流通する赤魚についてご紹介します。
そもそも赤魚って何者?
赤魚は北太平洋に分布する赤い体色をしたメバル属(アコウ)の総称。国内においては粕漬や冷凍品として流通する定番の総菜魚であり、スーパーに行けば必ずと言っていい程見かける魚です。
今や高級魚となったアコウダイはかつて総菜魚として定番でしたが、現在は価格が高騰してしまい一般の食卓に並ぶことはありません。国内で漁獲される赤いメバル属はアコウダイの他にオオサガ、バラメヌケ、ヒレグロメヌケがいますが、いずれも高級魚として流通します。
なお、この類によく用いられる「メヌケ」や「メヌキ」という表現は、これらの魚が深海に生息するため、釣り上げると減圧により眼が飛び出ることから呼ばれるようになりました。
アラスカメヌケはやや高級?
スーパーで赤魚として売られている商品であっても、原材料を見れば産地と魚種を知ることができます。
赤魚と呼ばれる魚は複数いますが、中でもアラスカメヌケは高価な部類に入る魚でしょう。本種は宮城県以北、北海道、ベーリング海、アリューシャン列島、アラスカなどに生息し、主にアメリカやロシアからの輸入があります。
本種は国内でも少量漁獲がある魚で、アコウ類と比較すると魚体はやや小さめであることが特徴です。国産のアラスカメヌケは時に鮮魚で流通し時に高値で取り引きされます。
赤魚と呼ばれる魚たちは他にも
赤魚として流通する輸入魚はアラスカメヌケだけではありません。
タイセイヨウアカウオ Sebastes norvegicus(モトアカウオ)は北大西洋の水深100~1000メートルの深海に生息する魚で、最大で全長100センチ、寿命は60年とも。本種はグリーンランド、カナダ、アイスランド周辺の海域でトロールにより漁獲され、アラスカメヌケ同様、赤魚として日本で流通しています。
この海域では本種の他に数種類のメバル属が生息。Sebastes mentellaは国内でチヒロアカウオと呼ばれており、和名の千尋は極めて深いことを意味しています。その名前の通りチヒロアカウオはタイセイヨウアカウオよりも深場に生息するのです。また、本種はタイセイヨウアカウオよりも小型であり、商業的価値はタイセイヨウアカウオの方が高値で取引されます。
なんとハゼ科にもいる赤魚
普段、我々の生活の中ではまず出会うことはありませんが、ハゼ科には標準和名がアカウオの魚がいます。
本種はハゼ科アカウオ属に属する小型種。背びれと臀びれは1基でその基底は非常に長く、有明海の怪魚ワラスボを彷彿させる見た目をしています。本種は名前の通り赤い体色をもっている他、内湾の泥底の中に生息するため眼が退化的であることが特徴です。
底引き網で稀に漁獲されるようですが、食用にはならないようです。それにしてもなぜこのような珍種にアカウオというシンプルな和名が付いたのか気になりますね。
かつて総菜魚として流通したアコウダイは今や高級魚となってしまいました。もしかすると、アラスカメヌケやモトアカウオも今後は高級魚となっていくのかもしれませんね。
(サカナト編集部)