サンシャイン水族館(東京都豊島区)は、11月11日を「タチウオの日」として制定したことを発表しました。
同館では2025年4月からタチウオを常設展示。立ち泳ぎをするタチウオの姿が数字の「1」に似ていることにちなむ取り組みです。
飼育が難しいタチウオ
タチウオは、銀白色に輝く細長い体と大きな眼、鋭い歯を持つ海水魚です。
最大で全長約1.5メートルに達する肉食魚で、頭を上にして立つように泳ぐ姿が特徴。刀のような姿が名前の由来とされるほか、立ち泳ぎをすることから「立ち魚」が由来という説もあります。
水族館での長期飼育が難しい魚としても知られており、サンシャイン水族館では2020年から展示に向けた取り組みを開始しました。採集先の開拓や輸送方法、飼育環境の改善などを重ね、2025年4月に常設展示を実現しています。
館内1F「天を仰ぐ太刀魚」水槽(提供:株式会社サンシャインシティ)現在展示されているタチウオは、飼育スタッフが船に乗って駿河湾や東京湾で採集した個体。採集時には生体へのダメージを抑えるため、針を外す作業を素早く行うなどの工夫が施されています。
タチウオの体表を覆う銀色の成分「グアニン」は剥がれやすいため、できるだけ魚に触れないことも重要とされています。
採集から輸送、展示まで細かな工夫
採集したタチウオは、傷の状態などに配慮しながら水族館まで輸送。輸送中には薬浴を行い、車の揺れによる水の跳ね返りを抑えるため、活魚車の水槽をできるだけ満たすなどの対策が取られています。
飛び出し防止の透明なシートも(提供:株式会社サンシャインシティ)水族館到着後も、展示水槽までの移動には工夫が必要だといい、タチウオ専用に作ったビニール製の道具を使って運び、バックヤードでは狭い通路やフロア間を通りながら展示水槽へ移すそうです。
お手製タチウオビニタモ(提供:株式会社サンシャインシティ)こうした採集、輸送、搬入までの工程が、長期的な展示を支えています。
「タチウオの日」に合わせたイベントも
記念日の制定に合わせ、10月9日から11月15日まで「タチウオの日」の関連イベントが開催されます。
館内では、タチウオとほかの魚との違いを紹介するパネル展示のほか、全国のタチウオ料理を紹介する展示を行うほか、期間中は通常のアシカパフォーマンスを「タチウオの日ver.」として実施する予定です。
タチウオは食用魚としても知られており、近年は海水温の上昇などを背景に東日本の太平洋側でも漁獲が増加。身近な魚となりつつある一方、立ち泳ぎをする独特の生態や、水族館での飼育の難しさについては知られていない面もあります。
今回の記念日制定を機に、食卓で見るタチウオとは異なる生態や、飼育・展示をめぐる取り組みにも関心が集まりそうです。
(サカナト編集部)