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成長と共に姿が変わる<スズメダイ科>の仲間たち 幼魚と成魚の違いを解説

スズメダイ科の魚は、美しい色彩をしているので観賞魚として人気があります。しかしその中には、小さいうちは美しい色彩でも、成長すると色や模様が大きく変化し、真っ黒になったり、茶褐色になってしまうものも多いのです。色や模様が地味になるのであればまだよいのですが、性格も……。

ここでは幼魚が美しいけれど、成長すると地味になるスズメダイ科魚類についてご紹介します。

なお、ここでは海水魚の飼育について扱っています。海水魚は真水(淡水)で飼育することはできません。また海水魚飼育の設備は淡水魚とは異なるものが必要になります。詳しくは専門誌などをご参照ください。

観賞魚としてのスズメダイの仲間

スズメダイはその鮮やかな色彩から観賞魚として人気があります。

全身が青いルリスズメダイは非常に美しい魚です。しかしながら、ルリスズメダイは性格がきつく、小さな水槽では確実にもてあましてしまいます。小型水槽で複数飼育していると、大体は最後に強い1匹だけが残るということもしばしばです。

ヒメスズメダイやクロオビスズメダイ、デバスズメダイなど温和な種もいますが、多くの種では縄張りをつくり、気性も激しいものです。

カクレクマノミ(撮影:椎名まさと)

なお、よく知られているようにクマノミ属もスズメダイ科の中に含まれています。クマノミ属の中にも気性が激しい魚がいます。

スズメダイの仲間の名前について

スズメダイの仲間の英名の終わりには「~ダムゼル」「~ドゥモワゼル」などと付くことが多いです。

ルリスズメダイ属のタルボッツドゥモワゼル(撮影:椎名まさと)

「~ダムゼル」は「Damsel」と綴り、一方「~ドゥモワゼル」は「Demoiselle」とつづります。いずれもフランス語がもとになっており「お嬢さん」とか「貴婦人」という意味になるようですが、性格はどこが貴婦人なのかわからないくらい攻撃的なので注意が必要です。

なお、「Damsel」は「ダムセル」、「Demoiselle」は「デモイセル」「デムワーゼル」とも綴りますが、ここでは原則として「ネイチャーガイドブック スズメダイ」に従い「ダムゼル」「ドゥモワゼル」表記とします。なお、本記事内では標準和名を有する種において、現在使用されている標準和名でない日本語の名称は原則ひらがな表記としています。

スズメダイ科魚類の幼魚と成魚

ルリスズメダイは幼魚・雌・雄で色彩はほとんど変わらない(撮影:椎名まさと)

スズメダイ科の観賞魚の代表的な存在であるルリスズメダイは幼魚・雄・雌ともに色彩はコバルトブルーで、尾が透明なのが雌、尾も青いのが雄であるほか色彩の違いは見られませんが、ほかのスズメダイの仲間の中には幼魚と成魚で色彩が大きく異なるものがいます。

これはキンチャクダイ科の魚と同様に、親の縄張りの中に弱い幼魚が入っても攻撃されにくいように色彩が異なっているのかもしれません(スズメダイ科の仲間の一部の種は水槽では同種だろうが別種だろうが、無差別に攻撃を仕掛けますが……)。

この手の縄張りを作るタイプのスズメダイ科魚類は多くが藻類を好んで食べています。藻類は動物プランクトンとは異なり、潮流にのって流れてくるということはなく、餌を確保するために縄張りを持つ必要があります。

またスズメダイ科の幼魚のうちいくつかの種は背鰭に目玉模様をもつことがあります。これはチョウチョウウオの仲間にもあるもので、敵を惑わす効果があるようです。しかしこれは成長すると消えることが多いです。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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