(アイキャッチ画像/撮影:琵琶湖博物館)
琵琶湖水系に生息する「ネジレモ」はその名の通り、葉がくるくる捻れているのが特徴です。
近年のアクアリウムブームに伴い、観賞用としても販売されています。
琵琶湖水系の固有種ネジレモ
沈水性植物であるネジレモは琵琶湖水系の固有種です。葉はリボン状で、長さ10~80センチ、幅3~9ミリほどです。
花期は8~10月で、地中に潜っている茎の様なもの(走出枝)を伸ばして増えます。
殖芽と呼ばれる越冬用の芽は形成せず、走出枝の芽が越冬し、また伸びます。繁殖力は旺盛で、琵琶湖全域の湖底が砂質で浅いところに多く生息しています。
水底に根を張る沈水性植物
水生植物のうち、植物全体が水中にあり、水底に根を張っているものを「沈水性植物」といいます。バイカモやオオカナダモ、クロモなどがあります。
沈水性の水草には植物の葉っぱにあるような気孔をもたず、水中の表皮細胞が直接ガス交換や栄養塩類の吸収を行なっています。
水の中で生きる植物も独自の進化があるんですね。
「ネジレモ」はねじねじした葉っぱが可愛い
ネジネジした葉っぱの形が可愛い「ネジレモ」ですが、捻れているのは葉っぱだけではありません。雌花もバネの様にのように捻れています。
近年の研究で、雌花が雄花の花粉を水面からかき集め、水中に引き込むために、雌花が自力で捻れていることがわかりました(自力で回旋する雌花~水草ネジレモのふしぎを研究~ 神戸大研究室クローズアップ)。
ねじねじする運動「回旋転頭運動」とは
進化論でも有名なチャールズ・ダーウィンは、植物が「回旋転頭運動」をしていることを発見しました。
琵琶湖水系固有種の「ネジレモ」はその形をとどめながら進化してきました。これは古代湖である琵琶湖を象徴する植物と言えるのではないでしょうか。
本能的、動物的ともいえる方法で花粉を集め、たくさんの交流で繁殖していく繁殖力も旺盛な「ネジレモ」。いちど、琵琶湖の澄んだ水の上から、観察してみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:小園梓)