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<ニホンザリガニ>と<アメリカザリガニ>の見分け方 最大の違いは「体型」?

ザリガニ。エビとカニの合体したような姿で魅力的な生きものですよね。

全世界の淡水域には、様々な種類のザリガニが生息しており、その生態やサイズも多種多様です。

日本ではニホンザリガニという固有種が生息していますが、現在の日本で一般的に見かけるザリガニは外来種のアメリカザリガニです。

また、同じく外来種のウチダザリガニも存在し、近年徐々に生息域を拡大しています。

あまりに馴染みすぎてしまった外来種<アメリカザリガニ>

アメリカザリガニが日本に持ち込まれたのは1927年で、100年近く前のこと。環境の変化に強かったアメリカザリガニは、この期間で日本各地に生息するようになったため、今では日本でいちばん有名なザリガニになっています。

アメリカザリガニ(提供:PhotoAC)

一方で、あまり水辺の生きものに詳しくない人からすれば、アメリカザリガニもニホンザリガニも同じように見えてしまいます。

名前とは裏腹にかなりマイナーになってしまったニホンザリガニと、そこかしこで繁殖しているアメリカザリガニの違いが分かりますか?

おそらく「両者の違いはよく分かんない」と感じる人が多いのではないでしょうか。

ニホンザリガニとアメリカザリガニの違い

ニホンザリガニとアメリカザリガニの最大の違いは、その見た目にあります。

ずんぐりしてて小さい<ニホンザリガニ>

ニホンザリガニは全体的にむっちりずんぐりとしており、体長も小さめで、最大でも70ミリに届かない個体だらけ。

ニホンザリガニ(提供:PhotoAC)

基本的には50~60ミリ付近で成長が止まるようです。ハサミ(第1脚)もやはり小ぶりで、可愛い印象です。

体色は茶色やオレンジ、青みがかかった褐色など環境によって多少変化します。

鋭くて大きい<アメリカザリガニ>

一方のアメリカザリガニはニホンザリガニより体格が優れ、80ミリから100ミリ付近まで大きくなる個体が頻繁に見受けられます。

ハサミも大きく長いため、大型の個体になるとかなりの迫力を有するのも特徴のひとつですね。

アメリカザリガニ(提供:PhotoAC)

体色は赤や黒などが目立ちますが、こちらも環境によって多少左右されます。

それと、アメリカザリガニは全体的に「鋭い」印象があり、ニホンザリガニのようなずんぐり体型とは明確に異なった姿をしています。

アメリカザリガニの幼生がサイズと色味のためにニホンザリガニと誤認されるケースがよくありますが、アメリカザリガニは幼生の時点でニホンザリガニとは全く体型が異なります。

アメリカザリガニの幼生(提供:PhotoAC)

このため、両者の判別は、その見た目を一度でも目にしてさえいれば、実はかなり簡単です。

アメリカザリガニとニホンザリガニの生息域は被らない

日本に移入されてから100年ほどが経過した現在、アメリカザリガニは本当にどこにでも生息するのが当たり前の外来種となってしまいました。

とりわけ問題視されているのが、定着するとその環境を一変させてしまう生態です。

幅広い食性の大きな影響

アメリカザリガニは在来の生き物を植物も動物も、食べられそうなものなら何でも捕食するほど幅広い食性を有しています。

本来水草が生い茂り、小魚や水生昆虫、カメなどに溢れていた在野の水域が彼らによって水草もなく、生き物もろくにいない環境に変貌してしまいました。

魅力的だが外来種としての影響力は大きいアメリカザリガニ(提供:松本ミゾレ)

水草がなければ、水中の栄養を取り込んで浄化する植物としての機能も失われ水質は不安定になりますし、在来種がアメリカザリガニに食い荒らされれば、真っ当な食物連鎖も崩壊し、アメリカザリガニしか住めない環境になっていきます。

環境省は2023年6月、これ以上の拡散を防ぐため、アメリカザリガニを「条件付特定外来生物」に指定。販売には手続きが必須であるという規制を設けました。これにより、ペット用個体の販売や購入は禁止となり、さらには屋外へのリリースも同様に禁止になりました。

ニホンザリガニの生息域は狭い

一方、ニホンザリガニの生息域はかなり狭く、自然分布は北海道と北東北のみとなっています。

これは、本種が河川上流や山間部の湖沼などの水温が低く、水質が清浄な環境でしか生きられない生態を持つからです。

アメリカザリガニのせいでニホンザリガニが減ったと思われがちですが、生息環境が異なるため、直接的に競合となっている地域はないとされています。ニホンザリガニは生息できる環境が減ったことで、個体数が減少しているのです。

ニホンザリガニは、アメリカザリガニのようなタフなザリガニではなかったため、固有種でありながら生息域が限られます。国内ではメジャーになってしまったアメリカザリガニと誤認される事態が発生する要因は、そのナイーブな生態にあるのです。

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松本ミゾレ

松本ミゾレ

史上初、ゴンズイ玉に足を突っ込んで無傷だった男

フリーライター。猫、クサガメ、金魚、メダカ、ドジョウなどと暮らす。ベランダにトロ舟を設置して数年経過するも、まだタガメは飛来せず……。 水の生き物が大好きな水恐怖症。

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