海を訪れるとついつい貝殻を拾ってしまう、という人は多いのではないでしょうか。
筆者は海の生き物が好きですが、実はこれまでの人生においてはほとんど貝殻拾いをしたことがありませんでした。それよりは、海に直接入って、魚を探している方が多かったのです。
そんな私がひょんなことから貝殻拾いを行った結果、その面白さに感嘆しました。
生き物が好きだけれど、貝殻拾いは初心者の筆者による、貝殻拾いの体験談を紹介します。
貝殻は“動かない”から興味を惹かれなかった
海の生き物が好きなくせに、なぜこれまで貝殻拾いをしてこなかったのか──理由は単純で動かないからです。
あくまで幼少期に感じていたことですが、その頃の私からすれば、動かない貝殻は切り身や焼き魚と同じだったのです。
貝自体は面白いと思うことはあるけれど、その殻には興味が湧かない。そんな理由から、貝殻拾いよりも、その奥にある海に直接入った方が楽しいと、そう思い込んでいました。
そうした考えを慢性的に引きずり、大人になって以降も貝殻には手を出してきませんでした。
ワークショップに使うために貝殻拾いに挑戦!
そんな筆者はつい最近、環境教育を目的とした移動水族館組織を立ち上げました。
ここで行うワークショップやグッズ案を考えていた際に、貝殻をレジンに閉じ込めてストラップにしたら面白そうだと思い立ったのです。
しかし、筆者は貝に全く詳しくありません。お客様に「この貝はなんですか?」と聞かれて答えられないというのは、情けない話です。
「ネットで買った貝殻を図鑑で見るだけでは実感が湧かない。やはり直接海岸へ拾いに行かなければ!」
こうして、筆者は神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜海岸へと向かいました。
由比ヶ浜海岸は<サクラガイ>で有名
すぐそばに鎌倉の街があり、観光地になっている由比ヶ浜は、内湾に生息するサクラガイが流れ着くことで有名です。
そのことは筆者も知っていたので、ぜひサクラガイを拾いたい!と思い、目的地に決めました。
脆くも儚いサクラガイ
実際に探してみると、想像していたよりもサクラガイは落ちていませんでした。
凄まじい数の貝殻の中から運良く見つけ出せるか否か。ゲームのガチャでスーパーレアを引くくらいの確率か、それより低いんじゃないかと思うほどです。
もちろん時期や運もあると思いますが、見た目が美しく、さらになかなか見つからないことがみんなを夢中にさせるのだと感じました。
淡い色彩は綺麗だが、完全形を留めるものは少ない(撮影:みのり)そして、サクラガイはとても脆く、手で拾おうとするだけでパキッと割れます。
「海の中でどうやって割れずに生きてたんだ……」と思うくらい脆いのです。
砂浜は“宝の山”?
数時間も貝殻拾いをしていると、サクラガイを含め、そこそこの量の貝殻を拾えました。
まず思ったのは、“宝の山”だなということ。砂浜のどこをどう見渡しても貝殻だらけです。
少し下を見れば貝殻がたくさん!(撮影:みのり)その貝殻一つ一つにも違いがあります。
しかも、海が満ち引きをするたびに、その内容は更新されるのです。
拾った貝殻たち(撮影:みのり)貝殻好きの人からしたら、毎日拾っていても飽きることはないでしょう。
これまで貝殻拾いをほとんどしてこなかった私ですら、そう感じました。
貝殻はずっと残り続ける
私がよく観察や採集の対象とする魚や多くの無脊椎動物は、死後すぐに腐敗してしまいます。
防腐処理などをきちんと施さなければ、こうした生き物の標本や情報は残せません。施しても、生きているときの色彩や繊細さは抜け落ちてしまうことがほとんどです。
しかし、貝殻であれば長い時間そこに残ります。拾った後の管理も楽ですし、それこそグッズやアクセサリーに加工してずっと手元に置いておくこともできます。
その後筆者が自作した貝殻ストラップ(撮影:みのり)砂浜の貝殻一つ一つがかつて生きており、たくさんの情報を持っていると考えたら、とてもロマンを感じます。
こんなに誰でも気軽にできる自然観察があったとは……盲点でした。
ワークショップやグッズに活用することを目的として行った貝殻拾いでしたが、いつの間にか私自身が貝殻拾いの魅力に取り憑かれつつあります。
次の機会を待つまでもなく、また貝殻拾いへ赴こうと思います。
生き物好きの方の中には、私のようにこれまで貝殻拾いを嗜んでこなかった方も多いと思います。そうした方にこそ、是非この楽しさを味わっていただきたいです。
貝殻拾いは簡単かつ身近な自然観察の手段でした。ぜひ、砂浜に訪れた際には楽しんでみてくださいね。
(サカナトライター:みのり)