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人工衛星発信機で追跡? 三陸沿岸に来遊する<アカウミガメ>の移動経路が明らかに

アカウミガメは温帯~熱帯に広く生息する海洋爬虫類の1種です。

北太平洋のアカウミガメは、初夏~夏にかけてメスが関東以南の太平洋で産卵することが知られている一方、オスに関する回遊生態はほとんど分かっていませんでした。

そうした中で、東京大学大気海洋研究所の福岡拓也 助教らの研究グループは、北太平洋に生息するオスのアカウミガメに発信機を装着することにより、三陸沿岸からの回遊経路を追跡しました。

この研究正解は「Endangered Species Research」に掲載されています(論文タイトル:Dispersal patterns of male loggerhead turtles Caretta caretta from a high-latitude summer foraging ground in the North Pacific)。

北太平洋のアカウミガメ

アカウミガメは海洋爬虫類の1種であり、温帯~熱帯に広く分布しています。

アカウミガメ(提供:PhotoAC)

北日本の個体群については、主に日本列島で産卵。孵化した幼体はハワイや北米へ移動した後、日本周辺海域に戻り成長します。

成熟したアカウミガメは1回繁殖し、初夏~夏にメスは関東以南の太平洋側で産卵することが知られていました。

三陸沿岸に来遊する個体を対象に調査

このようにアカウミガメのメスに関する研究は進んでいた一方、オスの回遊生態は謎に包まれていたといいます。

今回の研究では、2009~2017年に三陸沿岸の定置網で混獲された未成熟~成熟したオスのアカウミガメ16個体を対象にして調査。人工衛星発信機を装着し放流後の移動経路を追跡しています。

三陸の海(提供:PhotoAC)

なぜ、三陸沿岸のアカウミガメが対象になったのかというと、三陸沿岸は日本の産卵場の北限より約500キロ北にあるにもかかわらず、夏季にアカウミガメが来遊していることが知られていました。

さらに、来遊個体の中でも成熟サイズは大半がオスであることから、オスの回遊生態を調べるのに適した海域であると考えられたのです。

オスは高緯度海域を利用

追跡の結果では、すべての個体が秋~冬に南下し、北緯30度付近の温暖な海域で越冬することが明らかになっています。

また、翌年の夏まで追跡できた個体については、春~初夏に再び北上し、北緯37~42度付近の海域を利用していたとのことです。

一部の成熟サイズのオスでは、繁殖海域である日本の太平洋側で交尾期を過ごし、5~6月に北上を始め、夏には高緯度海域に到達していることが判明しています。

未成熟個体に近い回遊生態

これまでの研究では、日本で産卵するメスは産卵後に北緯36度以南を利用し、太平洋沖の北緯40度付近を利用する個体は少ないとされています。

その一方で、太平洋中央の性別不明の未成熟個体では、季節的に北緯30~40度を利用していることが報告されていました。

このころから、三陸沿岸に来遊するオスのアカウミガメは、成熟したメスよりも未成熟個体に近い回遊生態を持っていると考えられています。

重要な海域の特定へ

今回の研究によって、三陸沿岸に来遊するオスのアカウミガメの回遊生態が明らかになりました。この成果は、これまであまり調査されてこなかった高緯度海域の重要性を示すものです。

今後、研究グループは繁殖海域でオスメス両方に発信機を装着し、回遊生態の性差の解明と、本種の保全に重要な海域を特定する研究に繋げていきたいとしています。

(サカナト編集部)

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